御願寺(読み)ゴガンジ

デジタル大辞泉 「御願寺」の意味・読み・例文・類語

ごがん‐じ〔ゴグワン‐〕【御願寺】

天皇皇后親王などの発願ほつがんによって建てられた寺。勅願寺

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精選版 日本国語大辞典 「御願寺」の意味・読み・例文・類語

ごがん‐じゴグヮン‥【御願寺】

  1. 〘 名詞 〙 天皇、皇太子など高貴な人の願によって建立された寺。東大寺などの類。勅願寺。御願
    1. [初出の実例]「権律師法橋上人位宗叡予造御願寺」(出典日本三代実録‐貞観一六年(874)八月二四日)

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改訂新版 世界大百科事典 「御願寺」の意味・わかりやすい解説

御願寺 (ごがんじ)

天皇の御願を修する寺の意で,平安時代盛行した。奈良時代の官大寺と異なり,皇室檀越(だんおつ)とする皇室の私寺で祈禱所菩提所として営まれ,天皇譲位後の居所としての性格もそなえる。天皇御願のほか,上皇,皇后,親王等にも用いられ,貴族僧侶の建立した寺を奏請する場合も多い。京都近辺に集中するが,平安中期以降地方寺院で御願寺となる例も増加する。代表的なものに,山陵に接して建立された仁和寺醍醐寺,叡山定心院・妙香院,仁和寺に近く,円融天皇御願にはじまる四円寺(円融寺,円教寺,円乗寺,円宗寺),院政期の象徴ともいえる洛東白川の六勝寺(法勝寺,尊勝寺,最勝寺,円勝寺,成勝寺,延勝寺)がある。
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百科事典マイペディア 「御願寺」の意味・わかりやすい解説

御願寺【ごがんじ】

天皇の御願を修する寺の意で,平安時代に盛行。官大寺(かんだいじ)に対し,皇室(上皇・皇后・親王等を含む)の私寺として営まれ,天皇譲位後の居所ともなった。また貴族や僧侶の建立寺を奏請して御願寺とした場合もある。
→関連項目倉月荘質侶牧八条院領

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「御願寺」の解説

御願寺
ごがんじ

天皇や皇族など貴人の発願によりたてられた寺院。古代の大寺や定額(じょうがく)寺に由来し,四円寺や六勝寺が代表例。勅令によって建立・指定された寺院を,とくに勅願寺・勅願所という。はじめ官寺的・公的性格が強かったが,貴族の氏寺の増加に対応して平安後期から天皇家の私寺的色彩を強め,鎮護国家よりも願主の個人的な祈願にこたえることに主眼をおく。その所領も,長講堂領のように事実上の皇室領と化した。

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世界大百科事典(旧版)内の御願寺の言及

【寺院】より

…以上の官寺系寺院に対し,奈良・平安時代,政府は私寺乱造の弊害を是正し国家の統制をはかるため,皇族や貴族が建立した寺院のうち,寺額を与えて定額寺(じようがくじ)と定め,修理料などを施入して経営保護に当たり,半官半私の寺院制を設けた。定額寺は全盛期には数十ヵ寺を数えたが,律令制の衰退とともに政府からの実益が停止し,平安後期には院政期の六勝寺に象徴される御願寺(ごがんじ)の制にその位置をゆずった。御願寺は天皇,上皇,院宮などを本願に建立された寺院で,定額寺と同じく本願のための加持祈禱を主務とする密教系寺院で,施入された多くの荘園をもつ荘園領主でもあったが,13世紀にはいっていずれも衰微した。…

※「御願寺」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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