朝日日本歴史人物事典 「御薗意斎」の解説
御薗意斎
生年:弘治3.8.17(1557.9.9)
安土桃山時代の鍼術家。摂津の人。名は常心。天正10(1582)年京都に上り,金銀の鍼をつくり,細川忠興,夢分斎(法印流鍼術家)と親交があった。正親町天皇,後陽成天皇に仕え,鍼博士となる。その術は木の小槌を用いて鍼を打って刺入する打鍼法で,これは日本独自の鍼の始まりであり,のちの杉山和一の管鍼法の先駆けともいえる。以後代々が意斎を名乗り,明治維新に至るまで10代にわたって御典医の地位を保つ。著書に『医家珍宝』『鍼灸秘訣』『鍼灸全論』『神華秘伝』があるが散佚している。<参考文献>京都府医師会編『京都の医学史』
(高島文一)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報