コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

関数空間 かんすうくうかんfunctional space

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

関数空間
かんすうくうかん
functional space

関数のなす集合に,代数的演算や位相を導入した空間。変分法で,関数 f に対して定まる汎関数 I(f) の極大を論じようとするときなど,f を元とする空間 Ω でのワイエルシュトラスの定理を問題にしなければならなくなる。いま,1変数あるいは n 変数の,実数値あるいは複素数値連続関数全体の集合を Ω とする。ここで Ω に位相を与えれば,Ω は位相空間になる。こうしてできた位相空間の元は関数であるから,Ω は関数空間と呼ばれる。このような関数の集合 Ω に位相を与える方法はいろいろあるが,一般には,Ω距離空間になるように位相を導入する。たとえば,閉区間 [0,1] で定義された連続関数全体の集合を Ω とするとき,Ω の任意の 2元 f(x),g(x)(x∈[0,1]) の距離を |f(x)-g(x)| の上限,すなわち ρ(fg)= sup |f(x)-g(x)| と定義すれば,Ω は距離ρについての距離空間となる。したがって Ω は位相空間となり,それゆえ関数空間である。また関数空間は,位相空間であるとともに,ベクトル空間ともなる。それには Ω の任意の 2元 fg に対して,ベクトル空間の基本演算である和 fg および fa 倍 (a はスカラー) を,自然に定義すればよい。関数空間の理論は,現代解析学の多くの問題を位相数学の応用として,統一的に取扱うための一般的な手段である。関数空間の研究に基本的な意味をもつ空間に,ヒルベルト空間バナッハ空間がある。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

デジタル大辞泉の解説

かんすう‐くうかん〔クワンスウ‐〕【関数空間】

一定の区間で定義された連続性をもつ関数全体の集合。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

かんすうくうかん【関数空間 function space】

関数f(x)を微分するという演算はf(x)にその導関数f′(x)を対応させることであり,また0≦yx≦1なる2変数(x,y)の関数K(x,y)が与えられたとき,区間[0,1]の上の関数fに対して,なる関数gを対応させると,これも関数から関数への対応(写像)である。このように,微分・積分などの演算を含む関数から関数への対応を統一的に扱うのが,現代の解析学の一つの重要な特徴である。そのために,ある条件をみたす関数の全体を一つの集合と考え,個々の関数をその集合の要素として扱うとき,その集合を関数空間という。

出典 株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について 情報

大辞林 第三版の解説

かんすうくうかん【関数空間】

ある条件を満たす関数の集合。

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

関数空間
かんすうくうかん

閉区間[a, b]上の連続関数全体の集合をC[a, b]で表すと、C[a, b]は普通の和や定数倍に関しベクトル空間になる。さらにfのノルムfで表し

により定義すると、ノルムは絶対値と同様な性質を満たす。f-gにより、C[a, b]の2点f、gの距離を定義すると、C[a, b]はこの距離により距離空間となり、しかも完備になる。したがって、C[a, b]はバナッハ空間となり、関数解析が使える。このように、関数が要素となるノルムの定義されたベクトル空間を関数空間という。
 C[a, b]のほかに、

が(ルベーグ積分の意味で)有限になる関数の全体をL2(a, b)で表すと、この要素f、gに、内積

が定義されて、ヒルベルト空間になる。[洲之内治男]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

関数空間の関連キーワードアレキサンダー グロタンディエクワイエルシュトラスグロタンディエクコンパクト集合J. ルレールベーグ積分グリーン関数ノルム空間発展方程式積分方程式線形作用素実関数論関数解析導関数定義域演算子固有値ルレー作用素一定

今日のキーワード

天網恢恢疎にして漏らさず

《「老子」73章から》天の張る網は、広くて一見目が粗いようであるが、悪人を網の目から漏らすことはない。悪事を行えば必ず捕らえられ、天罰をこうむるということ。...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

関数空間の関連情報