心に染む(読み)こころにしむ

精選版 日本国語大辞典 「心に染む」の意味・読み・例文・類語

こころ【心】 に 染(し)

[一] (「染む」が自動詞四段活用の場合) 心に深く刻みこまれて離れない。深く心に感じる。印象にしみじみと焼きつく。
万葉(8C後)四・五六九「韓人(からひと)の衣染むと云ふ紫の情爾染(こころニしみ)て思ほゆるかも」
[二] (「染む」が他動詞下二段活用の場合) 心を傾ける。思いつめる。執心する。
源氏(1001‐14頃)総角「見奉る人々、若きは心にしめてめでたしと思奉る」
仮名草子浮世物語(1665頃)四「その教に随ふて、心にしめて身に行ふ」
[補注](二)は「占(し)む」をあてる説もある。

こころ【心】 に 染(そ)

[一] (「染む」が自動詞四段活用の場合) 気に入る。意にかなう。強く心が引かれる。
※詞花(1151頃)春・一九「白雲はたち隔つれど紅のうす花桜こころにぞそむ〈藤原師実〉」
浄瑠璃仮名手本忠臣蔵(1748)九「心に染(ソマ)ぬ諂(へつら)ひも、主人を大事と存ずるから」
[二] (「染む」が他動詞下二段活用の場合) 深く心を寄せる。執心する。
古今(905‐914)雑上・八六九「色なしと人や見るらん昔より深き心にそめてしものを〈源能有〉」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉 「心に染む」の意味・読み・例文・類語

こころ・む

(「染む」が五(四)段活用の場合)気に入る。心にかなう。「―・まない結婚をすすめられる」
(「染む」が下二段活用の場合)深く心を寄せる。傾倒する。
皆人の―・むる桜花いくしほ年に色まさるらむ」〈千載・春上〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

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