朝日日本歴史人物事典 「源能有」の解説
源能有
生年:承和12(845)
平安前期の公卿。近院大臣と称される。正三位。文徳天皇の第1皇子で母は伴氏の娘。仁寿3(853)年,源氏姓を賜って臣籍に下った賜姓源氏。貞観14(872)年28歳で参議となり,寛平8(896)年右大臣に昇進。その間に検非違使別当,皇太子傅,左近衛大将を兼務。中納言であった46歳のとき同年齢の菅原道真宅の竹を所望して移植したことが『菅家文草』にみえる。和歌をよくし,また宇多天皇の命を受け『三代実録』編纂の筆頭に据えられたが,同じ編纂にかかわった道真同様完成をみずに死去。死後正二位を追贈された。娘に清和天皇の女御となった厳子(温明殿女御),摂関藤原忠平の妻となり師輔を生んだ昭子がいる。邸宅は平安京左京にあった近院(松殿)。
(朧谷寿)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報