志珂郷(読み)しかごう

日本歴史地名大系 「志珂郷」の解説

志珂郷
しかごう

和名抄」諸本とも「志阿」に作り、訓も欠くが、「志珂」の誤写とみて「しか」と読むのが通説である。現福岡市東区志賀島しかのしま比定する説が有力で、当郷はその地理的環境から海上交通・海人に関する史料が豊富である。神功皇后伝承にも「磯鹿の海人」(「日本書紀」神功皇后摂政前紀・仲哀天皇九年九月一〇日条)が登場し、「筑前国風土記」逸文(釈日本紀)では「糟屋の郡。資珂嶋」の島名の由来が神功皇后との関係で語られている。「延喜式」神名帳にみえる志加海神社三座(名神大社、現福岡市東区の志賀海神社に比定)は、この島を拠点とした安曇氏によって奉祀され、海上交通との関係が深かったことは、「ちはやぶる金の岬を過ぎぬともわれは忘れじ志賀皇神」の歌(「万葉集」巻七)によっても知られる。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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