日本大百科全書(ニッポニカ) 「快傑黒頭巾」の意味・わかりやすい解説
快傑黒頭巾
かいけつくろずきん
大衆児童文学の作家高垣眸(たかがきひとみ)の長編時代小説。1935年(昭和10)1月から12月、『少年倶楽部(くらぶ)』に連載。主人公は三葉(みは)・珠三郎(たまさぶろう)の姉弟で、江戸城中に捕らわれている軍学者の父山鹿士行(やまがしこう)を救出しようとする。この姉弟の危機を幾度も救ってくれる黒頭巾の武士があり、目的成就ののち、この謎(なぞ)の武士は近くに住む易者の天命堂で、実は姉弟の兄であると判明する。昭和10年代、大衆児童文学興隆期の秀作の一つで、以来、再三映画化、テレビ化された。
[上笙一郎]
『『快傑黒頭巾』(『少年少女世界の名作50』所収・1973・小学館)』▽『二上洋一著『少年小説の系譜』(1978・幻影城)』