思ひ出す人々(読み)オモイダスヒトビト

デジタル大辞泉 「思ひ出す人々」の意味・読み・例文・類語

おもいだすひとびと〔おもひだすひとびと〕【思ひ出す人々】

内田魯庵文壇回顧録。大正14年(1925)刊。明治期の文壇の人間模様をいきいきと描く。「二葉亭の一生」など、全12編を収録

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「思ひ出す人々」の意味・わかりやすい解説

思ひ出す人々
おもいだすひとびと

内田魯庵(ろあん)著の文壇回想録。1925年(大正14)春秋社刊。明治初期の政治小説流行時から、二葉亭四迷(しめい)の没するまでの明治文壇を、自身がその渦中にあって体験した記憶によって生き生きと再現し、文学史的価値と作家論的色彩をあわせもつ日本近代屈指の名回想録である。収録された全12編のうち、『二葉亭の一生』などの二葉亭四迷に関する記述、『硯友(けんゆう)社の勃興(ぼっこう)と道程』に描かれた尾崎紅葉(こうよう)、『美妙(びみょう)斎美妙』の山田美妙、『斎藤緑雨』はことに優れる。また、『最後の大杉』は静かに権力虐殺を告発した名文である。

野村 喬]

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世界大百科事典(旧版)内の思ひ出す人々の言及

【内田魯庵】より

…その基本的な文学観は《文学一斑》(1892)に示されている。小説の代表作には,知識人の内面の空白をリアリズムの手法で描いた《くれの廿八日》(1898)や,社会各層の矛盾を風刺した《社会百面相》(1902)があり,翻訳に《罪と罰》(1892‐93),トルストイ《復活》(1905)などがあるが,晩年は第一線を退き,《思ひ出す人々》(1925)をはじめ文壇回顧,人物評伝,随筆などに従事した。【十川 信介】。…

※「思ひ出す人々」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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