思出(読み)おもいで

精選版 日本国語大辞典 「思出」の意味・読み・例文・類語

おもい‐でおもひ‥【思出】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 前にあったことなどが心に浮かんでくること。また、昔を思い浮かべる材料となる事柄。おもいいで。
      1. [初出の実例]「あまたあらばさしはせずとも玉くしげあけん折折思ひでにせよ」(出典:小式部内侍本伊勢物語(10C前)H)
      2. 「仏の御前に、しるべし給へ。それをだに、この世の思ひでにもし侍らん」(出典:狭衣物語(1069‐77頃か)三)
    2. ( 形動 ) 一生の記念になるほど、心の満足すること。また、そのさま。思う存分の楽しみ、歓楽
      1. [初出の実例]「又汝人間に生れて、思出もなくして、命を失はん事も不便なれば」(出典:梵舜本沙石集(1283)二)
      2. 「Vomoide(ヲモイデ) マウス、または、ツカマツル〈訳〉よい暮らしをする。または楽しむ。Vomoideno(ヲモイデノ) シンダイ〈訳〉安らかでのんきな状態、暮らし」(出典日葡辞書(1603‐04))
  2. [ 2 ] ( 思ひ出 )
    1. [ 一 ] 箏曲。京極流。鈴木鼓村作曲。薄田泣菫作詞。合の手に、個性的なリズムが使用されている。
    2. [ 二 ] 詩集。北原白秋作。明治四四年(一九一一)刊。郷里柳川の風物背景に、幼少年時代の追想を南国趣味的幻想でうたった自伝的なもの。

おもい‐いでおもひ‥【思出】

  1. 〘 名詞 〙 以前にあったことなどを思い起こすこと。昔を思い浮かべる材料となる事柄。おもいで。
    1. [初出の実例]「ちりぬともかをだに残せ梅の花恋しき時の思(おもひ)いでにせん〈よみ人しらず〉」(出典:古今和歌集(905‐914)春上・四八)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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