思出(読み)おぼしいず

精選版 日本国語大辞典の解説

おぼし‐い・ず ‥いづ【思出】

〘他ダ下二〙 (「おもいいず(思出)」の尊敬語) 以前にあったことや忘れていたことなどを心にお浮かべになる。思い起こされる。
※大和(947‐957頃)一六一「むかしをおぼしいでてをかしとおぼしけり」

おもい‐い・ず おもひいづ【思出】

〘他ダ下二〙 以前にあったことや、忘れていたことなどを心に浮かべる。思い起こす。思い出す。おもいず。
※万葉(8C後)一〇・二三四一「思出(おもひいづる)時はすべなみ豊国の木綿山(ゆふやま)雪の消ぬべく思ほゆ」

おもい‐いだ・す おもひ‥【思出】

〘他サ四〙
① 忘れていた物事や昔の事などを心に浮かべる。おもいだす。
※発心集(1216頃か)一「一心に信仰しける時、此の水瓶を思出(ヲモヒイダ)して」
② あることを考え出す。おもいつく。おもいだす。
※今鏡(1170)六「わが心よりおもひいだしへるなるべし」

おもい‐いで おもひ‥【思出】

〘名〙 以前にあったことなどを思い起こすこと。昔を思い浮かべる材料となる事柄。おもいで。
※古今(905‐914)春上・四八「ちりぬともかをだに残せ梅の花恋しき時の思(おもひ)いでにせん〈よみ人しらず〉」

おもい‐・ず おもひづ【思出】

〘他ダ下二〙 =おもいいず(思出)
※古事記(712)中・歌謡「本辺(もとへ)は 君を淤母比伝(オモヒデ) 末辺(すゑへ)は 妹を淤母比伝(オモヒデ)(いら)なけく そこに淤母比伝(オモヒデ)

おもい‐だ・す おもひ‥【思出】

〘他サ五(四)〙
① 前にあったことや忘れていたことを再び思う。おもいいだす。
※歌謡・閑吟集(1518)「思ひだすとは忘るるか、おもひださずや、忘れねば」
※天草本平家(1592)三「ミヤコデノ コト ヲ vomoidaite(ヲモイダイテ)
② ある考えが心に浮かぶ。おもいつく。おもいいだす。
※俳諧・曠野(1689)二「かざりにとたが思ひだすたはら物〈冬文〉 正月の魚のかしらや炭だはら〈傘下〉」
③ あることを考えはじめる。
吾輩は猫である(1905‐06)〈夏目漱石〉二「斯んな時に不図誘はれて死ぬ気になるのぢゃないかと思ひ出す」

おもい‐で おもひ‥【思出】

[1] 〘名〙
① 前にあったことなどが心に浮かんでくること。また、昔を思い浮かべる材料となる事柄。おもいいで。
※小式部内侍本伊勢物語(10C前)H「あまたあらばさしはせずとも玉くしげあけん折折思ひでにせよ」
※狭衣物語(1069‐77頃か)三「仏の御前に、しるべし給へ。それをだに、この世の思ひでにもし侍らん」
② (形動) 一生の記念になるほど、心の満足すること。また、そのさま。思う存分の楽しみ、歓楽。
※梵舜本沙石集(1283)二「又汝人間に生れて、思出もなくして、命を失はん事も不便なれば」
※日葡辞書(1603‐04)「Vomoide(ヲモイデ) マウス、または、ツカマツル〈訳〉よい暮らしをする。または楽しむ。Vomoideno(ヲモイデノ) シンダイ〈訳〉安らかでのんきな状態、暮らし」
[2] (思ひ出)
[一] 箏曲。京極流。鈴木鼓村作曲。薄田菫作詞。合の手に、個性的なリズムが使用されている。
[二] 詩集。北原白秋作。明治四四年(一九一一)刊。郷里柳川の風物を背景に、幼少年時代の追想を南国趣味的幻想でうたった自伝的なもの。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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