思消(読み)おもいきゆ

精選版 日本国語大辞典 「思消」の意味・読み・例文・類語

おもい‐き・ゆ おもひ‥【思消】

〘自ヤ下二〙
① 心も消えるほど気がめいる。深く思い沈む。
古今(905‐914)冬・三二八「しらゆきのふりてつもれる山ざとはすむ人さへや思きゆらん〈壬生忠岑〉」
② 深い憂いや恋慕の情のため死んでしまう。思い死ぬ。
太平記(14C後)三七「うかれて迷ふ其魄の跡までも猶なつかしければ〈略〉此(ここ)にて思消(キヘ)ばやと」

おもい‐け・つ おもひ‥【思消】

〘他タ四〙
① むりに忘れる。しいて思わないようにする。おもいけす。
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「他人(ことひと)はかくおもひけたせざらまし」
② ないものと考えて問題にしない。無視する。
源氏(1001‐14頃)葵「はかなき事の折に、人のおもひけち、なきものにもてなすさまなりし御禊(みそぎ)の後」

おぼし‐け・つ【思消】

〘他タ四〙 (「おもいけつ(思消)」の尊敬語) むりにお忘れになる。思わないようになさる。また、問題になさらない。無視なさる。
※源氏(1001‐14頃)桐壺「事にもあらずおぼしけちて、もてなし給ふなるべし」

おもい‐け・す おもひ‥【思消】

〘他サ四〙 =おもいけつ(思消)
浄瑠璃雪女五枚羽子板(1708)中「今の悲しさ忘れ草、思ひくゆらせ思ひけし」

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