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忘れ草 ワスレグサ

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デジタル大辞泉の解説

わすれ‐ぐさ【忘れ草】

カンゾウ、特にヤブカンゾウの別名。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

忘れ草
わすれぐさ

萱草(かんぞう)ともいい、いまのカンゾウ(萱草)の一種ヤブカンゾウにあたる。『和名抄(わみょうしょう)』に「一名、忘憂」とあり、身につけると憂いを忘れるという俗信があったが、これは『文選(もんぜん)』などにみられる中国伝来のものらしい。『万葉集』には、「恋忘れ草」と複合した形のもの一例を含めて五例みられる。「忘れ草我が紐(ひも)に付く香具(かぐ)山の故(ふ)りにし里を忘れむがため」(巻3・大伴旅人(おおとものたびと))、「忘れ草我が下紐に付けたれど醜(しこ)の醜草言(しこくさこと)にしありけり」(巻4・大伴家持(やかもち))など詠まれ、望郷や恋愛の憂愁を忘れるために衣服の下紐につけたことが知られる。平安時代に入ると用法が変化し、『古今集』には六例あるが、憂いを忘れるよりも、人から忘れられるという場合のほうが多くなり、住吉(すみよし)の景物として固定してくる。「道知らば摘みにも行かむ住の江の岸に生ふてふ恋忘れ草」(墨滅歌(すみけちうた)・紀貫之(きのつらゆき))などで、以後この類型が継承される。『伊勢(いせ)物語』の「忘れ草生ふる野辺とは見るらめどこはしのぶなり後も頼まむ」も人を忘れる草の意であり、『大和(やまと)物語』『うつほ物語』『源氏物語』などにも同様に用いられている。『伊勢物語』の例を誤解して、しのぶ草と混同されたこともあった。季題は夏。[小町谷照彦]

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