恋の奴(読み)コイノヤツコ

デジタル大辞泉 「恋の奴」の意味・読み・例文・類語

こい‐の‐やつこ〔こひ‐〕【恋の奴】

《思いのままにならない恋を擬人化して》恋というやつ。恋のやつめ。
「家にあるひつかぎさしをさめてし―がつかみかかりて」〈・三八一六〉

こい‐の‐やっこ〔こひ‐〕【恋の奴】

恋に支配されている身を、人に使われるやっこにたとえていう語。恋のとりこ。恋の奴隷
いたづらに、―になり果てて」〈謡・恋重荷

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「恋の奴」の意味・読み・例文・類語

こい【恋】 の 奴(やっこ)

奴風遊女
浮世草子・好色盛衰記(1688)二「此所の瀑女(しゃれおんな)小左衛門といへるは風俗恋(コヒ)の奴(ヤッコ)にして」
※浮世草子・好色五人女(1686)五「俄に㒵(かほ)をつくり髭(ひげ)、恋の奴(ヤッコ)物まね

こい【恋】 の 奴(やつこ)

① 恋を擬人化して、おさえられない恋心を憎んでいう語。恋というやつ。
万葉(8C後)一六・三八一六「家にある櫃に鏁(かぎ)刺し蔵(をさ)めてし恋乃奴(こひノやつこ)のつかみかかりて」
謡曲・恋重荷(1423頃)「この身は軽し徒らに、恋の奴になり果てて」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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