恩倖(読み)おんこう(かう)

普及版 字通 「恩倖」の読み・字形・画数・意味

【恩倖】おんこう(かう)

特に天子愛を受ける。〔宋書、恩倖伝論〕嗚呼(ああ)、書に恩澤侯表り、佞倖り。今其の名を(と)り、列ねて以て恩倖と爲すと云ふ。

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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

改訂新版 世界大百科事典 「恩倖」の意味・わかりやすい解説

恩倖 (おんこう)
ēn xìng

中国で,皇帝にとり入って身分不相応に特別な恩寵を受け,信任される人々をいう。皇帝と公的な行政機関との間に介在して政治を乱し,皇帝の威を借りて専横なふるまいをすることが多い。《史記》や《漢書》などでは,おべっかを使って天子にとり入る意味をこめて佞倖(ねいこう)と呼び,〈佞倖列伝〉にその種の人々を集める。中には美しい容姿で男色的な恩寵を受けるものもあるが,一般には外戚・宦官などの皇帝側近や帝位につく前からひきつづき側近として仕えてきた人々の中から多く現れる。六朝時代には恩倖と呼ばれ,貴族に制肘された天子が低い身分の側近を信任して対抗したため,彼らが収賄によって派閥を作り,その勢力天下を傾けたこともある。皇帝権力確立のために残酷な刑を執行する小役人や軍人が信任されたり,錬金術師や祈禱師などのほか,皇帝の個人的な嗜好をみたすものが信任されて政治を乱すことは近世中国にも多い。
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