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おん

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説


おん

仏教用語。『大乗本生心地観経』では,父母の恩,国王の恩,衆生の恩,三宝の恩などの四恩を心に深く感じ大切に思うことが,仏道修行の要素であると説く。また一切衆生を救うという如来の誓願に対する恩徳を思い,感謝すべきであるとも説いている。

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おん

社会的地位の高い主人が,従者や従者の家族に与えた精神的,物質的な給与一切を意味した。この主従関係が続くかぎり,給与一切は,従者がいかに奉仕を積重ねても等しくなりえない従者の終生かつ子孫の負い目と観念された。

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デジタル大辞泉の解説

おん【恩】

人から受ける、感謝すべき行為。恵み。情け。「を施す」

おん【恩】[漢字項目]

[音]オン(呉)(漢)
学習漢字]5年
めぐみ。いつくしみ。情け。「恩愛(おんあい・おんない)恩恵恩師恩賜恩赦恩情恩人恩寵(おんちょう)恩典感恩旧恩君恩厚恩高恩鴻恩(こうおん)謝恩重恩大恩朝恩仏恩報恩忘恩
[名のり]おき・めぐみ

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世界大百科事典 第2版の解説

おん【恩】

恩はほんらい〈恵み〉を意味し,神の恵み(愛)や仏の恵み(慈悲)をさしたが,のち中国や日本では君主や親の恵みという考えが強調されるようになった。インドの仏教は縁起(相互依存)の思想によって人間の横の結びつきを重視したのにたいし,中国の儒教は忠孝を説く五倫五常(精神的秩序)の思想によって人間の縦の関係に注目したが,この考え方の違いが恩の観念にも反映した。仏教ではインド以来〈四恩〉が説かれたが,それは《正法念処経》では母,父,如来,説法の師の恩とされ,《大乗本生心地観経》では父母,衆生,国王,三宝の恩とされている。

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大辞林 第三版の解説

おん【恩】

他の人から与えられためぐみ。いつくしみ。 「御-は一生忘れません」 「親の-」
封建時代、家臣の奉公に対して主人が領地などを与えて報いること。
給与。手当。 「 -をもせで、はなれんことこそ無念なれ/曽我 9」 → 御恩ごおん

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説


おん

『日本書紀』や『古語拾遺(しゅうい)』などの日本の古典に出ている「恩」は「めぐみ」「みいつくしみ」「みうつくしみ」などと訓(よ)まれている。そして「めぐみ」は、草木が芽ぐむなどというときの芽ぐむを名詞形にしたものとされているが、草木が芽ぐむのは冬眠していた草木の生命力が陽春の気にはぐくまれて目覚めることによる。そのようにある者が他の者に生命を与えたり生命の発展を助けることが恩を施すことであり、その逆が恩を受けることであるとみられる。したがって恩の存在するのは人間の間だけでなく、われわれは天地人の三者から広く恩を受けていることになる。しかしこれは広義の「恩」で、普通にはある人によって示された好意とその良好な結果とに対して感謝するという狭義の感恩が考えられ、この感恩の対象は父母と君主であると貝原益軒(かいばらえきけん)などは考えていた。つまり感恩の究極は忠孝にあるというわけであるが、日本思想における感恩の観念は仏教の影響によるところが大きく、中国の儒教は恩を説くことはまれであった。[古川哲史]

仏教における恩

サンスクリットのウパカーラupakra(他の者を思いやること)、またはクルタkrta(他の者から自分になされた恵み)の漢訳。仏教では、人は恩を知り(知恩)、心に感じ(感恩)、それに報いなければいけない(報恩)とされる。具体的に、『正法念処経(しょうぼうねんしょきょう)』では母、父、如来(にょらい)、説法の法師から受ける四種の恩があげられ、さらにのちには『心地観経(しんちかんぎょう)』で父母、衆生(しゅじょう)、国王、三宝(さんぼう)の四種の恩が説かれた。いわゆる四恩思想である。親子や夫婦間の愛は恩愛といい、出家修行者には断ち切るべきものとされる。中国では親から受ける恩が孝の思想と関連して強調され、『父母恩重経(ふぼおんじゅうきょう)』の偽経が制作されるに至った。[新井慧誉]
『仏教思想研究会編『仏教思想4 恩』(1979・平楽寺書店)』

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世界大百科事典内のの言及

【日本社会論】より

…この二元論的対比が,非欧米社会の典型としてとらえられた日本に機械的に適用されて,恥辱回避傾向としての〈恥の文化〉という類型化がなされたのではあるまいか。
[〈恩〉と〈義理〉]
 〈恥〉という文化型の中核としてのエートスethosが,必ずしも日本文化を特色づけるものでないとしたら,何が日本の文化型を規定しているのであろうか。日本人の対人関係を規制するモラルとして,古来,〈恩義〉という観念が存在している。…

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