恩給制(読み)おんきゅうせい

旺文社日本史事典 三訂版 「恩給制」の解説

恩給制
おんきゅうせい

主君従者に対して,奉公に対する反対給付,すなわち御恩として土地を給与する制度
主従制とともに封建制度の基本として把握される関係で,法制史上の概念。日本においては,鎌倉時代,御家人に対して,将軍地頭職を安堵したり恩賞として補任したことに始まる。近世に至っては,荘園諸職を恩給する形式は荘園制の崩壊とともになくなり,代わって土地の知行が行われ,俸禄制へと移ったが,禄高を定められて知行を許されることも,主君の恩によるものと考えられていて,思想的には封建社会を通じて変わらなかった。

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世界大百科事典(旧版)内の恩給制の言及

【封建制度】より


【ヨーロッパ】
 ここでは上述の(1)の概念についてのみ説明する。
[成立]
 レーン制は,起源を異にする二つの制度,すなわち〈家士制Vasallität(ドイツ語),vassalité(フランス語)〉と〈恩給制Benefizialwesen(ドイツ語),bénéfice(フランス語)〉の結合によって成立した。家士制の説明から始めると,ローマ末期のガリアにおいては,自由民は大きく〈有力者potentes〉と〈被護民clientes〉とに分かれ,被護民は託身によって一生涯主人たる有力者の権力に隷属し,主人の保護にあずかるとともに,種々さまざまの奉仕義務を負担していた。…

※「恩給制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」