悪性胸膜中皮腫

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

悪性胸膜中皮腫

肺を包む膜にできるがん。主にアスベスト石綿)を吸うことで起きる。吸入から平均で約40年後に発症するとされており、日本肺癌(がん)学会によると発生ピークは2030年ごろで、患者数は年間3千人と予測されている。手術だけで取り切ることは困難で、化学療法も標準的治療で効く患者は4割程度と、治療が非常に難しいがんの一つ。

(2019-06-29 朝日新聞 朝刊 岡山全県・1地方)

出典 朝日新聞掲載「キーワード」朝日新聞掲載「キーワード」について 情報

六訂版 家庭医学大全科の解説

悪性胸膜中皮腫
あくせいきょうまくちゅうひしゅ
Malignant pleural mesothelioma
(呼吸器の病気)

どんな病気か

 胸膜の中皮細胞由来の腫瘍で、悪性度が高く、石綿(アスベスト曝露(ばくろ)との関連が深いのが特徴です。

原因は何か

 職業的な石綿吸入が発症要因として知られており、石綿鉱山の従業員や、造船業、建設業に従事する人々に発症しやすい腫瘍です。

 石綿に被曝してから悪性胸膜中皮腫が発症するまでの期間は、20~50年とされています。

症状の現れ方

 通常、片側の肺を侵すことが多く、胸水がたまってくると、胸痛、(せき)、呼吸困難が現れます。発熱を来すことはまれです。

 胸部X線検査や胸部CT検査で、胸水がたまっている様子や不整な胸膜肥厚像を認めます(図46)。

 胸水は血性を示すことが多く、ヒアルロン酸も高値を示します。胸水細胞診のみでは診断率が低く、胸腔鏡検査で胸膜変化部を生検して確定診断される場合も少なくありません。

治療の方法

 発症初期での胸膜・肺全摘出術による治療以外に根治的なものはありません。

 手術不能例では、シスプラチンとペメトレキセドの併用抗がん化学療法が有効な場合もありますが、予後は極めて不良です。

病気に気づいたらどうする

 石綿曝露歴がある人が、胸痛などの自覚症状が起きてから受診したのでは、すでに手遅れです。石綿曝露歴がある人は、1年に2回は検診で胸部X線検査を受け、悪性胸膜中皮腫の早期発見に努めるべきです。


出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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