じん肺(読み)じんぱい(英語表記)pneumoconiosis

翻訳|pneumoconiosis

知恵蔵の解説

じん肺

粉じんやアスベストが肺に進入することにより起こる肺病。じん肺は、鉱石の採掘に伴い発生する粉じんを吸入することにより起こる肺病で、珪肺(けいはい)とも言われる。鉱山労働者の職業病として古くから知られた。日本では金属鉱山や炭鉱のじん肺被害補償を求める訴訟が1980年代以降多発したが、現在でもトンネル掘削工事でじん肺患者が発生しており、被害補償の訴訟が起こされている。また、アスベスト(石綿)鉱山、アスベスト製品製造工場の労働者や周辺住民が、アスベストの吸引により、じん肺の一種であるアスベスト肺、アスベスト肺がん中皮腫胸膜プラークを患うケースがある。アスベストの繊維は、髪の毛の5000分の1程度と細かいため、肺の奥深くまで入り込み、分解されず体内にとどまる。アスベスト肺は10年以上後、アスベスト肺がんは20〜40年後、中皮腫は30〜50年後、胸膜プラークは20年以上後に発症する。とくに、中皮腫はアスベスト特有の疾患で、発症後数年以内に死亡に至る。

(畑明郎 大阪市立大学大学院経営学研究科教授 / 2007年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

朝日新聞掲載「キーワード」の解説

じん肺

大量の粉じんやアスベストを吸入することによって、呼吸障害などの肺機能低下を引き起こす疾患。鉱石の採掘現場で粉じんが発生することから、鉱山労働者の職業病として古くから知られてきた。1960年に予防措置などを定めた旧じん肺法が施行された。トンネル工事現場や、アスベスト製品製造工場などで、じん肺患者が発生し、現在も全国で訴訟が起こされている。

(2018-10-07 朝日新聞 朝刊 岐阜全県・1地方)

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六訂版 家庭医学大全科の解説

じん肺(珪肺症、石綿肺)
じんぱい(けいはいしょう、せきめんはい)
Pneumoconiosis (Silicosis, Asbestosis)
(呼吸器の病気)

どんな病気か

 空気中に浮遊する微粒子(約1~5㎛)である粉じんを肺に吸入することによって肺に生じる病気で、肺内に線維性病変などをつくります。多くは、粉じんを吸入する環境ではたらく場合に発症することで、職業性疾患に分類されます。粉じんの吸入から発症までには、吸入する粉じんの量にもよりますが、一般に長期間を必要とします。

原因は何か

 粉じんの吸入によって起こりますが、粉じんの種類は数多くあります(表15)。病気になるのは、この粉じんが肺内に沈着して、肺の線維化、気管支炎、気管支拡張などを起こすためです。そのため、病変が進行すると肺からの酸素の取り込みの低下が強まって、呼吸困難などが生じます。

 代表的なものには、鉱山、石工、トンネル工事などで起こる珪肺症(けいはいしょう)と造船業、建設業で起こる石綿肺(せきめんはい)があります。以下、この代表的な2つの病気について解説をします。

中島 正光


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