受け(読み)ウケ

デジタル大辞泉 「受け」の意味・読み・例文・類語

うけ【受け/請け/承け】

引き受けること。承諾すること。「たやすくお―はできません」
競技争いなどで、相手の攻撃を防御すること。「―に回る」
世間の評判・反響。人気。「―がいい」「―をねらう」
(請け)保証すること。保証人。「人の―に立つ」
生け花役枝やくえだの一。立花りっかでは、の枝に対して低く横に出ている枝。生花せいかでは、地の枝のこと。→七つ道具
(他の名詞の下に付いて)
㋐受けたり支えたりするもの。「郵便―」「軸―」
㋑価を償って引き取ること。「質―」「身―」
[類語](3信用評判しん信頼信任信望人望定評暖簾のれん覚え名望声望徳望人気魅力名誉名聞めいぶん面目体面面子メンツ一分いちぶん沽券こけん声価名声美名見栄みえ面皮世間体体裁肩身

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精選版 日本国語大辞典 「受け」の意味・読み・例文・類語

うけ【受・請・承】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「うける(受)」の連用形の名詞化 )
  2. 相手の動作や働きかけに反応を示すこと。
    1. (イ) 相手の要求、命令、申し出などを承諾すること。引き受けること。
      1. [初出の実例]「え否むまじうて、忽ちのうけはせねど〈略〉など契りけるに」(出典:承応版狭衣物語(1069‐77頃か)一)
      2. 「云はむ事、請(うけ)有て聞け」(出典:今昔物語集(1120頃か)一六)
    2. (ロ) 競技、ゲーム、闘技などで、相手の攻撃を防御すること。また、する人。「攻めと受け」「受けにまわる」
    3. (ハ) 歌舞伎十八番の「暫(しばらく)」で、花道からのせりふを舞台の二重(にじゅう)にいて受けとる公家悪(くげあく)の敵役の通称。
      1. [初出の実例]「美しいうけで国からしばらくウ」(出典:雑俳・柳多留‐二五(1794))
    4. (ニ) 能楽、または長唄の囃子(はやし)で、大鼓(おおつづみ)、小鼓、太鼓の打ち方の名称。受頭(うけがしら)、受三地(うけみつじ)、受走(うけばしり)など。
    5. (ホ) 旅芝居などで、町触れの太鼓が帰ってきたとき、小屋で待ち受けてたたく大太鼓の称。
    6. (ヘ) 注文をうけること。〔模範新語通語大辞典(1919)〕
  3. 世間の評判。おもわく。受け取られ方。
    1. (イ) 世間の評判。人望。特に演劇で観客の反響をいうことがある。
      1. [初出の実例]「太夫は声にはよらぬ。見物のうけばっかりをあぢいれ」(出典:浮世草子・当世芝居気質(1777)一)
    2. (ロ) 相手に与える感じと相手の反応。もてなし。待遇。あしらい。態度。
      1. [初出の実例]「浪人じゃと云と、強(きつ)い茶屋の受けが違ふて」(出典:浄瑠璃・躾方武士鑑(1772)八)
    3. (ハ) 相手の意向などの理解のしかた。さとりかた。
      1. [初出の実例]「土瓶をとって『これか』『アレサどふも請(ウケ)のわりい』『ヲットしゃうちだ』ト、そばにある燗徳利をとり」(出典:人情本・春色梅児誉美(1832‐33)初)
  4. 物を受け取ること。他人から、なにかを手に入れること。受け取り。
    1. [初出の実例]「請 一切経御供米事。合玖斗者。右、去年八月分、法印信顕所請之状如件」(出典:碓井小三郎氏所蔵文書‐永仁三年(1295)五月三〇日・松王法師供米請取状)
  5. 物を受けたり支えたりするもの。
    1. (イ) 物を受け入れる設備。「新聞受け」「郵便受け」
    2. (ロ) 支えるもの。つっぱり。「棚の受け」
    3. (ハ) 立花(りっか)で、心(しん)、副などの枝に対して、低く横に出て全体の釣り合いをとる枝。うけえだ。
      1. [初出の実例]「往昔花を指初るに法式有、いはゆる心、正心、副、請、見越、流枝、前置、〈略〉是を七ツ枝と名付」(出典:立花秘伝抄(1688)四)
  6. 相対すること。ある方向に面すること。また、面している部分。多く造語要素のように用いられる。
    1. (イ) 能の演技の型で、正面、または、ある方向に体を向けている者が、他の方向に向きを変えること。左受(ひだりうけ)、隅受(すみうけ)、脇正受(わきしょううけ)、脇座受(わきざうけ)など。
    2. (ロ) 建造物などで、ある方向に向いている部分。
      1. [初出の実例]「にしうけのたけれんじ、ほうぐしゃうじをほそめにあけて」(出典:浄瑠璃・冥途の飛脚(1711頃)下)
  7. 代価を償って、一定の拘束をうけていた人や品物を引き取ること。
    1. [初出の実例]「殊の外質屋は忙がしうござりまする。〈略〉二朱一本の兜を持って来ましたが、これは受けになりますかえ」(出典:歌舞伎・時桔梗出世請状(1808)二幕)
  8. 保証すること。特に、貸借関係や身もとの保証をすること。また、保証する人。保証人。うけにん。〔日葡辞書(1603‐04)〕
  9. 請け負うこと。
    1. (イ) 中世地頭名主などが領主への年貢納入を請け負うこと。地頭請、守護請、地下請、百姓請などがある。
    2. (ロ) 江戸時代、新田の開墾をするときに、請け負ってその土地を借り受けること。村が借り受けるときは「何々村受」と称し、個人の場合は「何々受」とした。
    3. (ハ)うけあい(請合)[ 一 ]
      1. [初出の実例]「日当は元通りでいい、〈略〉一円五十銭でもいいな。請(ウ)けで行くんなら、四十三円と」(出典:試みの岸(1969‐72)〈小川国夫〉)

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