憎まれっ子世にはばかる(読み)ニクマレッコヨニハバカル

デジタル大辞泉 「憎まれっ子世にはばかる」の意味・読み・例文・類語

にくまれっにはばかる

人に憎まれるような者が、かえって世間では幅をきかせる。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

ことわざを知る辞典 「憎まれっ子世にはばかる」の解説

憎まれっ子世にはばかる

人から憎まれるような子は、世間に出ると幅をきかし、威勢をふるう。

[使用例] 憎まれっ子世にはばかる〈略〉世間から迫害されるものは決して無くならない。かえってダンダンひろがっていく。たとえば雑草のごときは昔から皆にきらわれ、田畑でも見つかり次第眼のカタキのように引抜れてはいるが、相も変らず茂り栄えてはばかっているではないか[上野陽一*人間学断片|1948]

[使用例] かせぎも抜群なら、ほうへんはなはだしきことも抜群。これほど話題の多い落語家も少ない。とこう書いただけで「ふん、あんなヤツ落語家じゃねえ」という声がどこからともなく聞こえてくるほど〈略〉「憎まれっ子世にはばかる」のか、それとも「出る杭は打たれる」のか[江国滋*落語無学|1969]

[解説] 古くは、「世にいずる」といい、後に「世にはばかる」ないし「世にはびこる」というようになりました。「はばかる」は、ふつうは遠慮する意で使われますが、この場合は、いっぱいに広がる、幅をきかせるという意味です。
 ことわざの意味は、腕白で周囲から憎まれるような子どもは、たくましく生き、大人になると幅をきかせるというのが基本ですが、肯定的に評価するか否定的に嫌悪するかは文脈によって異なってきます。また、「憎まれっ子」を子どもではなく、人(大人)と解釈する見方もあります。なお、今日ではふつう「にくまれっこ」といいますが、かつては「にくまれご」と発音することも少なくなかったようです。

中国〕好人早過世、歹人磨世界(よい人は早死にし、悪い奴が世間にのさばる)

英語〕Ill weeds grow apace.(雑草はたちまち繁る)

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