憲法撮要(読み)けんぽうさつよう

改訂新版 世界大百科事典 「憲法撮要」の意味・わかりやすい解説

憲法撮要 (けんぽうさつよう)

美濃部達吉著書。1923年刊。穂積八束《憲法提要》(1910),佐々木惣一《日本憲法要論》(1930)と並ぶ,旧憲法下の代表的な憲法教科書で,天皇機関説,憲法の自由主義的解釈,目的論的方法などを特色とする。1935年帝国議会などでその天皇機関説が攻撃を受け,4月,同著者の《逐条憲法精義》《日本憲法の基本主義》とともに発売禁止処分を受けた。
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「憲法撮要」の解説

憲法撮要
けんぽうさつよう

憲法学美濃部達吉の著作。1923年(大正12)に初版発行。統治権法人としての国家にあり,天皇は最高機関として統治権を行使する,という国家法人説(天皇機関説)を中心に,立憲主義的な憲法理論を展開しており,幾度も重版されている。美濃部の憲法学は大正中期以降,憲法学会では定説化していたが,35年(昭和10)貴族院の一部や右翼勢力の美濃部排撃によって国体明徴運動が展開され,同年4月発禁となる。

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