…10世紀には〈在京雑掌〉といわれ,諸国の京都における出先機関の性格をいっそう強めた。これが国(くに)雑掌で,その国の〈形勢〉や〈土風〉に通ずるとともに,京にいて,国よりの貢進物に関する公文を扱ったが,やがて1005年(寛弘2)の山城国雑掌の秦成安を初見として,13世紀前半にいたるまで甲斐の三枝(さえぐさ),近江の安(野州),加賀の江沼,讃岐の綾などのように諸国の有力な土豪の姓を持ち,共通して〈成安(しようあん)〉を仮名(けみよう)とする諸国の雑掌が活動するようになる。このころすでに国守による諸国の貢進物の請負体制が形成されていたが,国雑掌は京都でその国の封戸物,諸司への納物等に関する文書を扱っただけでなく,その徴収・弁進・所済の責任を負い,封戸主・諸司などと国との間で紛争がおこった場合には,国の利害を主張する訴訟の当事者となったのである。…
※「成安」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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