埋草(読み)うめくさ

精選版 日本国語大辞典 「埋草」の意味・読み・例文・類語

うめ‐くさ【埋草】

〘名〙
① 城を攻めるとき、敵の城の溝や堀を埋めるために用いる草、その他雑物。うずめ草。
太平記(14C後)二〇「堀溝をうめん為に、うめ草三万余荷を〈略〉持ち寄せさせ」
② (①を比喩的に用いて) 作戦上、殺されることが確かでありながら前線へ送られる兵士。〔日葡辞書(1603‐04)〕
③ 欠けた部分を補ったり、また、空白の所を充たしたりするもの。うめあわせ。
歌舞伎小袖曾我薊色縫(十六夜清心)(1859)序幕「此の埋草(ウメクサ)にゃあ、〈略〉可愛がって貰わにゃあ合ねへよ」
④ 新聞、雑誌で、余白を埋めるために入れる、ちょっとした記事。
※学生時代(1918)〈久米正雄選任「『〈略〉原稿がなくて困って了ふんだから』『それで僕のを埋め草にしようと云ふのかい』」
⑤ 牛馬の飼料にするために穴蔵などに貯蔵しておく草。

うもれ‐ぐさ【埋草】

〘名〙 樹木の陰などに生え、人に気づかれない草。また、おおいかぶさる草。転じて、世の人に忘れられ寂しく暮らす人のたとえ。
※新撰六帖(1244頃)六「大荒木の本あらの下の埋草さも老いらくの末ぞいぶせき〈藤原信実〉」

うずめ‐ぐさ うづめ‥【埋草】

〘名〙 敵の城を攻めるとき、堀、溝などを埋めるために使う草、その他の雑物。うめくさ。
足利季世記(1487‐1569頃)野田福島合戦記「九日より野田・福島の堀を埋草を以て埋らるる」

まい‐そう ‥サウ【埋草】

〘名〙 家畜飼料のトウモロコシライムギ野菜などをサイロに詰めて乳酸発酵させたもの。サイレージ

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デジタル大辞泉 「埋草」の意味・読み・例文・類語

まい‐そう〔‐サウ〕【埋草】

サイレージ

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