成程(読み)なるほど

精選版 日本国語大辞典 「成程」の意味・読み・例文・類語

なる‐ほど【成程】

  1. [ 1 ] 〘 副詞 〙
    1. 可能な範囲でその限度までつとめてすることを示す。できるだけ。可能な限り。なるべきほど。
      1. [初出の実例]「仙台島の羽織を、成ほどみじかくいたし、此里へ着て参ったれば」(出典:浮世草子・傾城色三味線(1701)大坂)
    2. その状態や理屈を改めて確認し、または納得することを示す。
      1. (イ) たしかに。確実に。
        1. [初出の実例]「『ありがたい事かな、わたくしは、心がいそいそとして、おもしろう御ざる』と云。『そなたのやうな人が、成ほどよい仏になると、思召(おぼしめせ)』と云」(出典:天理本狂言・小傘(室町末‐近世初))
      2. (ロ) まことに、おっしゃるとおり。相手のことばに同意し、その意向に添う気持を表現する。
        1. [初出の実例]「なるほど人が居ると見えて、松明を投げたれば、踏み消した」(出典:謡曲・烏帽子折(1480頃))
  2. [ 2 ] 〘 形容動詞ナリ活用 〙 いかにも、その事が、ある状況や理屈に合っていると、改めて、確認し、納得するさま。
    1. [初出の実例]「『今の世の中は力も無くちゃア女が惚ねへとは可笑(をかし)な理屈に成るものさ』『成程な事を言やアがるのヲ』」(出典:滑稽本・七偏人(1857‐63)三)
  3. [ 3 ] 〘 感動詞 〙 相手のことばに対して、その通りであると同意する気持を表わす。
    1. [初出の実例]「『慥成(たしかなる)証拠があるか』『成(ナル)ほど、年よりたる母が証拠で御座ります』」(出典:咄本・軽口御前男(1703)二)

成程の補助注記

[ 一 ]用法は近世中期以降、「なるべく」「なるたけ」などにとって代わられた。


なある‐ほど【成程】

  1. 〘 感動詞 〙 「なるほど(成程)[ 三 ]」を強調した言い方。
    1. [初出の実例]「心の底にしみ着いたる世の人なれば推しなべては、今が今になある程と諾ふ人は」(出典:志都の岩屋講本(1811)上)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

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