思し召し(読み)オボシメシ

デジタル大辞泉 「思し召し」の意味・読み・例文・類語

おぼし‐めし【思し召し】

相手を敬って、その考えや気持ちをいう語。お考え。ご意向。「神の思し召しにかなう」「せっかくの思し召しですが」
金額を相手の考えに任せること。お志。「ご喜捨思し召しで結構です」
異性にひかれる気持ち。いくぶんふざけた感じでいう。恋情。「彼女は僕に思し召しがあるようだ」
[類語]考え貴慮尊慮賢慮御意ぎょい貴意尊意

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「思し召し」の意味・読み・例文・類語

おぼし‐めし【思召】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「おぼしめす(思召)」の連用形の名詞化 )
  2. お考え。お気持。
    1. (イ) ある事についての計画や見込み。
      1. [初出の実例]「忠こそ、かくなりにたれば見知る人もなけれど、『おぼしめしもこそ出づれ』と、悲しくいみじく思ふ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)吹上下)
    2. (ロ) 好意を含んだ考えや意向。
      1. [初出の実例]「正官より別段の御思召を以、御了簡なされ下被まして」(出典:隣語大方(18C後)四)
  3. 異性を恋い慕う気持。
    1. (イ) 相手の異性が自分を愛してくれる気持。
      1. [初出の実例]「さ程におほし召(メシ)とは、聊(いささか)存ぜす。さもあらば、今宵廿七日月もなき夜こそ人もしらまし、しのばせられよ」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)二)
    2. (ロ) 異性を愛している気持の現われを、第三者がややひやかし気味にいう。
      1. [初出の実例]「姉さんが誰と話をしたって事、不残(のこらず)旦那様御存じなの、最(も)う思召(オボシメシ)ったら無いんですからね」(出典:婦系図(1907)〈泉鏡花〉後)
  4. 喜捨、見料などで、額を定めないで、払う人の考えに任せること。
    1. [初出の実例]「値段を聞くと、番僧さんが『思召(オボシメシ)で宜しう御座います』と云ふ」(出典:東京年中行事(1911)〈若月紫蘭〉一月暦)

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