最新 地学事典 「扇状地堆積物」の解説
せんじょうちたいせきぶつ
扇状地堆積物
alluvial fan deposit
扇状地を構成する堆積物。allu-vialは時代の概念を含まない。一般的には礫質の堆積物であるが,気候,勾配,大きさ,集水域の地形・地質の違いによって卓越する堆積作用は異なり,多様な堆積物となる。広義には沖積錐や崖錐の堆積物を含む。地質学的記録は断層に挟まれた構造盆地に多く,5,000m以上の厚さをもつものもまれではない。扇状地は岩屑の供給の多い乾燥地域や周氷河地域,多雨地域に多く形成される。乾燥~半乾燥地の扇状地では,土石流などのマスムーブメントの堆積物が大きな割合を占める。多雨地域の扇状地は大型で勾配が小さい場合が多く,掃流型の堆積が卓越し,礫質網状河川の堆積物との区別は難しい。扇状地堆積物は全体として下流側へ細粒化していき,扇端(outer fan)ではしばしば泥質堆積物を挟む。扇端から下流側にはプラヤ・沖積平野・デルタなどさまざまな環境の堆積物があり,しばしばそれらと互層する。W.B. Bull(1972)は乾燥地域の扇状地堆積物を,土石流堆積物・布状洪水堆積物・チャネル堆積物・シーブ堆積物に区分したが,一律の適用は困難。
執筆者:鈴木 一久
出典 平凡社「最新 地学事典」最新 地学事典について 情報

