崖錐(読み)ガイスイ(その他表記)talus

翻訳|talus

デジタル大辞泉 「崖錐」の意味・読み・例文・類語

がい‐すい【崖×錐】

がけや急斜面の下に、落下した岩屑がんせつ堆積たいせきしてできた半円錐状の地形テーラス

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精選版 日本国語大辞典 「崖錐」の意味・読み・例文・類語

がい‐すい【崖錐】

  1. 〘 名詞 〙 崖や急傾斜山腹の下部で、風化した岩石がくずれ落ちて、半円錐状に堆積したもの。大小さまざまの角礫から成り、層理をなさない。乾燥地域、極地高山の無林地域に多く見られる。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「崖錐」の意味・わかりやすい解説

崖錐 (がいすい)
talus

崖や急斜面の基部にみられる岩屑の集積体。テーラスともいう。基盤岩からおもに機械的風化によって剝離した岩屑が,空中を落下したり,急斜面上を転落,滑落してその脚部をおおうように堆積したもの。大量の岩屑が一時に落下する山崩れとは区別される。急斜面の上部に漏斗状の溝ができると,その周りからの岩屑が1ヵ所に集中するので,その前面に形の整った半円錐形の高まりをつくる。複数の崖錐が互いに接して並んでいるものを複合崖錐という。溝のない平滑な崖面全体から同じ割合で落下すれば,岩屑は崖の前面に一様な傾斜で堆積し,崖錐斜面をつくる。崖錐の傾斜は比較的急で,コロラド州ロッキー山脈では,26度から35度であるという。岩壁が植被によって保護されていない寒冷地域,乾燥地域,それに高山では,凍結破砕作用で岩屑ができやすく(周氷河地形),崖錐の発達がよい。日本では槍ヶ岳穂高岳など日本アルプスの圏谷壁や氷食谷壁下に,現成のものが多数みられる。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「崖錐」の意味・わかりやすい解説

崖錐
がいすい
talus

テーラスともいう。おもに重力の作用によって急崖の下に堆積した岩屑から成る地形。通常,崖の上部の溝状の部分から多くの岩屑が供給されるので,溝の直下を中心として半円錐形をなす。急崖斜面に凹凸がなく,岩屑が崖下に沿って平面的に堆積する場合は,岩屑斜面として崖錐とは区別すべきである。崖錐の縦断勾配は 35°内外,横断形は中央部で凸形に湾曲。堆積物は粗粒で,末端ほど大礫が多い。氷食谷の側壁,断層崖,河岸や海岸などの急崖にできやすい。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「崖錐」の意味・わかりやすい解説

崖錐
がいすい

風化した岩屑(がんせつ)が、重力に従って急斜面を落下し、その底部に堆積(たいせき)した半円錐状の地形をいう。急な崖(がけ)の下に形成され、その上方には細粒の砂を、下方ほど大きい岩屑が堆積する。その表面の傾斜角は、最終的には岩屑安定角度によって決まる。岩屑の角張った物質の粒径が大きいほど傾斜角が大きくなるが、一般に25~40度の傾斜をとる。乾燥地域の急斜面の基部や、道路その他の切り割りの崖下に形成されることが多い。栃木県の旧足尾銅山周辺のはげ山の急斜面には多数の崖錐が発達している。

[市川正巳]

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百科事典マイペディア 「崖錐」の意味・わかりやすい解説

崖錐【がいすい】

急斜面または崖(がけ)の脚部につくられる半円錐状の堆積地形。大小の角礫(れき)を含む不淘汰(とうた)な堆積物からなる。急斜面から供給される崩落物は急斜面下に一時的に崖錐を形成するが,不安定で,豪雨時などにさらに下方へ流下する。

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