崖錐(読み)がいすい

日本大百科全書(ニッポニカ)「崖錐」の解説

崖錐
がいすい

風化した岩屑(がんせつ)が、重力に従って急斜面を落下し、その底部に堆積(たいせき)した半円錐状の地形をいう。急な(がけ)の下に形成され、その上方には細粒の砂を、下方ほど大きい岩屑が堆積する。その表面の傾斜角は、最終的には岩屑安定角度によって決まる。岩屑の角張った物質の粒径が大きいほど傾斜角が大きくなるが、一般に25~40度の傾斜をとる。乾燥地域の急斜面の基部や、道路その他の切り割りの崖下に形成されることが多い。栃木県の旧足尾銅山周辺のはげ山の急斜面には多数の崖錐が発達している。

[市川正巳]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「崖錐」の解説

崖錐
がいすい
talus

テーラスともいう。おもに重力の作用によって急崖の下に堆積した岩屑から成る地形。通常,崖の上部状の部分から多くの岩屑が供給されるので,溝の直下を中心として半円錐形をなす。急崖斜面に凹凸がなく,岩屑が崖下に沿って平面的に堆積する場合は,岩屑斜面として崖錐とは区別すべきである。崖錐の縦断勾配は 35°内外,横断形は中央部で凸形湾曲堆積物粗粒で,末端ほど大礫が多い。氷食谷側壁断層崖河岸や海岸などの急崖にできやすい。

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百科事典マイペディア「崖錐」の解説

崖錐【がいすい】

急斜面または崖(がけ)の脚部につくられる半円錐状の堆積地形。大小角礫(れき)を含む不淘汰(とうた)な堆積物からなる。急斜面から供給される崩落物は急斜面下に一時的に崖錐を形成するが,不安定で,豪雨時などにさらに下方へ流下する。

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精選版 日本国語大辞典「崖錐」の解説

がい‐すい【崖錐】

〘名〙 崖や急傾斜の山腹の下部で、風化した岩石がくずれ落ちて、半円錐状に堆積したもの。大小さまざまの角礫から成り、層理をなさない。乾燥地域、極地、高山の無林地域に多く見られる。〔英和和英地学字彙(1914)〕

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世界大百科事典 第2版「崖錐」の解説

がいすい【崖錐 talus】

崖や急斜面の基部にみられる岩屑の集積体。テーラスともいう。基盤岩からおもに機械的風化によって離した岩屑が,空中を落下したり,急斜面上を転落,滑落してその脚部をおおうように堆積したもの。大量の岩屑が一時に落下する山崩れとは区別される。急斜面の上部に漏斗状の溝ができると,その周りからの岩屑が1ヵ所に集中するので,その前面に形の整った半円錐形の高まりをつくる。複数の崖錐が互いに接して並んでいるものを複合崖錐という。

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