手回(読み)てまわし

精選版 日本国語大辞典 「手回」の意味・読み・例文・類語

て‐まわし ‥まはし【手回】

〘名〙
① 手でものを回すこと。また、そのもの。手回り
※美しい村(1963)〈立原正秋〉一「スタンドは手廻式(テマワシしき)の旧式のもので」
② 前もって用意すること。事が起こる前にそのてくばりをすること。てはずを整えること。準備。手配。手回り。
太閤記(1625)一六「如此手廻し無油断相勤ぬる由聞召」
人情本・恩愛二葉草(1834)三「斯く手廻(テマハ)しの速かに行届きけるも」
③ (②から転じて) 都合がよいこと。便利なこと。
浮世草子傾城禁短気(1711)六「紙花下されなば〈略〉壱匁引て取替て貰ふが手廻(てマハ)し成べし」
金銭のやりくりをすること。資金を運用させること。
※浮世草子・日本永代蔵(1688)六「手まはしばかりにて大分借金の有もぞんぜず」

て‐まわ・る ‥まはる【手回】

〘自ラ四〙 (物がめぐって自分の手にはいる意)
① 手にはいる。わが物になる。
浄瑠璃玉藻前曦袂(1751)三「小鳥めらさへ命はおしいかめったには手廻らず思ひの外不猟不猟」
② 金まわりがよくなる。家計などがうまくゆく。
※人情本・軒並娘八丈(1824)初「世帯上手に人愛よく〈略〉如才内証手廻(テマハ)りて」

て‐まわ・す ‥まはす【手回】

〘他サ四〙 工夫する。工面する。調達する。準備する。くわだてる。もくろむ。
洒落本・𡝂閣秘言(1757頃)身仕廻部屋の段「夕べも客を早ういなしてしまふやうに、こっちから帯といて手廻したけれど、つひ七つ前になって」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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