手桎（読み）てかせ

精選版 日本国語大辞典

て‐かせ【手桎・手械・手枷】

1. 〘 名詞 〙 ( 「てがせ」とも )
2. ① 手にはめて、罪人をこらしめる刑具。てかし。てぐつ。
   1. [初出の実例]「手かせあしかせ入れられて、獄中にくるしみ給ひけるに」(出典：平治物語（1220頃か）下)
   2. 「小春こちへとおくの間の影は見ゆれどくくられて、格子手がせにもがけば締まり」(出典：浄瑠璃・心中天の網島（1720）上)
3. ② 自由な行動を束縛するもの。
   1. [初出の実例]「蛇の手(テ)かせ、膏薬の足かせ、これをのぞかんとすれば、かれにまつはれ」(出典：読本・昔話稲妻表紙（1806）四)
   2. 「幾時代かの伝習はその抗しがたい手枷(テカセ)足枷で女を捉へた」(出典：夜明け前（1932‐35）〈島崎藤村〉第二部)

て‐かし【手桎・手械・手枷】

1. 〘 名詞 〙 ( 「てがし」とも ) ＝てかせ（手桎）①
   1. [初出の実例]「百済則ち奴須久利を捉(かつゐ)て杻械(あしかしテカシ)、枷鏁(くひかしかなつかり)して新羅と共に城を囲む」(出典：日本書紀（720）継体二四年九月（前田本訓）)
   2. 「ゆくほどは縄のくさりにつながれて思へばかなしてかしくびかし」(出典：聞書集（１２Ｃ後）)

出典　精選版 日本国語大辞典