改訂新版 世界大百科事典 「好色万金丹」の意味・わかりやすい解説 好色万金丹 (こうしょくまんきんたん) 浮世草子。夜食時分(やしよくじぶん)作。1694年(元禄7)刊。5巻。大坂新町を舞台とし,新町の遊女・遊興に関連のある20章より成る好色短編集。西鶴の《好色二代男》の影響が認められ,落ちで結ぶ小咄的な手法を用いる。趣向が勝って作り話の感が強いが,人情の観察は鋭く,構成は簡単であるが,軽妙な行文で珍奇な話を展開し,皮肉な落ちで結ぶ。西鶴以後の技巧派の異色作である。執筆者:長谷川 強 出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「好色万金丹」の意味・わかりやすい解説 好色万金丹こうしょくまんきんたん 浮世草子。夜食時分作。5巻。元禄7 (1694) 年刊。大坂新町の遊郭を舞台とした短編の好色笑話集。 20話。西鶴の『諸艶大鑑』 (84) の流れをひくもので,各編は,古事,金言などの引用で始る導入部,中心となる咄 (はなし) ,最後に奇抜な「落ち」で締めくくるという形をとる。当時流行の軽口咄の手法であり,その軽妙な味わいは西鶴以後の浮世草子中の白眉である。夜食時分はだれなのか未詳だが,ほかに軽口咄本の『座敷咄』 (94) ,咄の手法を用いながらも人間の愚かさを描いた浮世草子『好色敗毒散』 (1703) がある。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by