手返（読み）てがえし

精選版 日本国語大辞典

て‐がえし‥がへし【手返】

1. 〘 名詞 〙
2. ① 何度も手数をかけること。手数を加えて処置すること。手直しをすること。〔俚言集覧（1797頃）〕
3. ② 古い衣類などを何度も縫いかえすこと。
   1. [初出の実例]「直に着物をお着替なされ〈略〉酒染だらけ明日の手返(テガヘ)しも大抵な事ではない」(出典：いさなとり（1891）〈幸田露伴〉二五)
4. ③ 中に入っているものを、すっかり取り出したり、取りかえたりすること。
   1. [初出の実例]「長持を改めしに、割ぶたの分は悉水入て、〈略〉大にぬれたり。粂蔵・貞助うちよりて、手かへし大騒也」(出典：島根のすさみ‐天保一一年（1840）六月一五日)
5. ④ 手のひらを返すような行ない。てむかいすること。反抗すること。抵抗。
   1. [初出の実例]「あのやつに手返(ガヘ)しはならず」(出典：咄本・当世手打笑（1681）四)
6. ⑤ 遊戯の一つ。相手が伏せて出した手の下に自分の手を重ねて置いて、相手のすきをうかがい、手をひるがえして打つもの。
   1. [初出の実例]「其時々の流行小哥、扨は扇引・手がへし・枕顛狂」(出典：浮世草子・傾城禁短気（1711）二)

た‐がえり‥がへり【手返】

1. 〘 名詞 〙 鷹が手に返ってくること。
   1. [初出の実例]「御狩りする野中の木居(こゐ)のしけければ空とる鷹のたかへりもせず〈大江匡房〉」(出典：堀河院御時百首和歌（1105‐06頃）冬)

出典　精選版 日本国語大辞典