すき

日本大百科全書(ニッポニカ) 「すき」の意味・わかりやすい解説

すき
すき / 好

王朝文学に現れた美的理念。ことばの原義としては、気に入った物事に対して、いちずに熱中すること。平安時代では、恋愛をはじめとして、和歌管絃(かんげん)などの文雅芸道に没頭し陶酔する精神を「すき」とよぶようになった。とくに恋愛についていわれることが多く、恋の情緒の機微をよくわきまえている精神という概念として用いられた。

 これと似た概念に「いろごのみ」がある。もともと「いろごのみ」は、古代における恋愛生活の理想の概念で、多くの優れた女たちを破綻(はたん)なく支配することを通して神々を治め国々を経営しうる、古代英雄に固有の美徳であった。ところが平安時代になると、その信仰的・政治的性格が薄れて、前述の「すき」とほぼ同内容の概念として、「いろごのみ」の語も用いられるようになった。

 ともに、いちずに打ち込む精神をさすが、「いろごのみ」の対象がほぼ恋愛に限定されるのに対して、「すき」は恋愛のみならず趣味芸道についてまで広く用いられるようになった。たとえば平安時代中期の歌人能因(のういん)は、歌道に執心するあまり「すき」の歌人とよばれた。『袋草紙(ふくろぞうし)』によれば、彼は人に「常にすきたまへ、すきぬれば歌詠みぞ」と語ったという。中世に入ると、風流の意匠を凝らす意にも、あるいは茶道そのものをさす語としても用いられた。今日いう「物好き」も、その淵源(えんげん)をたどればこれにたどり着く。

鈴木日出男

『『折口信夫全集2・3・8』(1965~66・中央公論社)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル大辞泉プラス 「すき」の解説

すき

日本ポピュラー音楽。歌と作詞は女性演歌歌手、香西(こうざい)かおり。1997年発売。TBS系で放送ドラマ失業白書」の主題歌作曲:玉置浩二。

出典 小学館デジタル大辞泉プラスについて 情報

今日のキーワード

プラチナキャリア

年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...

プラチナキャリアの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android