改訂新版 世界大百科事典 「抵抗加熱」の意味・わかりやすい解説
抵抗加熱 (ていこうかねつ)
resistance heating
電源につながれた導体の発生するジュール熱を利用した電気加熱の一方式。安価な鉄クロム線を発熱体とする電気こんろや陶器の絵付窯はその例である。金属発熱体としてニクロム(加熱温度800℃以下),モリブデン,タングステン(3000℃以下)を,非金属発熱体(1000℃以上の高温加熱用)として炭素,炭化ケイ素,カンタルなどを,耐火煉瓦の炉内壁面に設置する抵抗炉構成とする。溶融させた塩に被熱物をつける塩溶炉もある。上述と異なり,被熱物に直接通電,これが発熱体となる方式を直接抵抗加熱といい,炭素から人造黒鉛をつくる黒鉛化炉,高級ガラスの溶解炉などがある。工業用には炉内雰囲気の制御も行われ,また特殊な流動床炉などもある。
執筆者:市川 真人
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報