押渡(読み)おしわたす

精選版 日本国語大辞典 「押渡」の意味・読み・例文・類語

おし‐わた・す【押渡】

〘他サ四〙
① 物を押し付けるようにして相手に渡す。
人情本・恋の若竹(1833‐39)中「色々に考へたるが、押(オ)し渡(ワタ)すとも受取る気色ならざれば」
② 櫓(ろ)を使って舟を向こう岸へ漕いで渡す。
※室町殿日記(1602頃)九「釜山浦をこぎ出して、すみよし瀬戸四十八里の渡を押わたしけるに」
③ ある物事全体に行き渡らせる。一様にする。
紫式部日記(1010頃か)寛弘五年九月一九日「透(す)きたる唐衣どもに、つやつやとおしわたして見えたる」
④ 一つのことから他の事に考えを進める。おしはかる。推論する。
※仏国風俗問答(1901)〈池辺義象食事時用意「一般に押し渡して考ふるに最も節倹なるが如し」

おし‐わた・る【押渡】

〘自ラ五(四)〙 (「おし」は接頭語) 海や川などを、勢いよく渡る。
太平記(14C後)一四「小舟三艘に取乗り押渡(ヲシわた)りて兄弟一所になる」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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