おしおくり‐ぶね【押送船】
- 〘 名詞 〙
- ① 帆を用いず、櫓を押して進む船。押し送り。
- [初出の実例]「試として江戸の押送ぶねのことを申し候て聞きしに、はるより夏の頃までは浪ひきき故、おしおくりというものにもなる也」(出典:島根のすさみ‐天保一一年(1840)一一月二六日)
- ② 生魚を主に、塩魚・干鰯などを魚市場に運送した快速の鮮魚船。七挺の櫓で走る早船のため、尖鋭な船型をもった二階造りで、帆走用に六反の帆をはる。押し送り。
押送船②〈川船図巻〉
- [初出の実例]「押送船・猟船の類、小船にして大船と違所もあり」(出典:今西氏家舶縄墨私記(1813)坤)
- 「魚釣たる時、押送船其所に来り、船中にて直に魚相場を極めて買ふなり」(出典:随筆・釣客伝(1846か)上)
おしょくり‐ぶね【押送船】
- 〘 名詞 〙 「おしおくりぶね(押送船)」の変化した語。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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押送船
おしおくりせん
江戸時代,生魚を消費都市に急送するために使われた小型快速の運搬船で,帆走のできない風向きのときは,櫓を押して急送したのでこの名がある。関東沿岸の漁港から江戸の魚市場への輸送に主用された船はその典型で,船首が高く,また鋭くとがらした凌波性のよい船型をもち,長さ約 12m,幅 2.5m,櫓7丁,帆6反という小型船であった。なお,押送船の快速で凌波性にすぐれた点は高く評価され,幕末期には浦賀奉行所などの幕府機関がこれと同型船を採用し,取締船や連絡船として使用した。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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