デジタル大辞泉
「拗」の意味・読み・例文・類語
よう【拗】[漢字項目]
[音]ヨウ(エウ)(呉) [訓]ねじる ねじれる ねじける すねる
1 ねじれる。まっすぐでない。「拗音・拗体」
2 すなおでない。すねる。「執拗」
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
こじ・れる【拗】
〘自ラ下一〙 こじ・る 〘自ラ下二〙
① 気持などがすなおでなく、ひねくれる。
※やみ夜(1895)〈
樋口一葉〉三「癖づきし心は
組糸をときたる如く、
はてもなくこぢれて」
② 話や事柄、間柄などが順調にいかないで、もつれる。
※卍(1928‐30)〈
谷崎潤一郎〉二四「あんな工合に妙にこじれて口も利かなんだのんですと」
③ 病気が順調に治らないで、悪くなって長引く。
※火の柱(1904)〈
木下尚江〉三「感冒
(おかぜ)の一寸こぢれたのが基で敢
(あへ)ない御最後でせう」
④ (動詞の
連用形に付いて) その
動作がうまく行なわれなくなる。しかねる。しそこなう。
※滑稽本・七偏人(1857‐63)四中「
自己(おいら)は化下手な上に、化
(ばけ)こぢれて仕舞て」
す・ねる【拗】
〘自ナ下一〙 す・ぬ 〘自ナ下二〙
① ひねくれて強情を張る。
不平不満があってすなおに人に従わず偏屈な
態度をとる。
※
謡曲・
鵜飼(1430頃)「あの堂へは川よりも夜な夜な
光り物が上がると申すほどに心得てお泊りやれや。まづはすねた
出家かな」
② 特に
気心の通じた
男女の間で、わざとつれなくする。片意地をはる。
※俳諧・鴉鷺俳諧(1646)「盃はおもひ思はぬさしところ〈
立圃〉 すねる
遊女の気をせかせ
ぶり〈宗利〉」
※
驟雨(1924)〈
岸田国士〉「ただ、
一時の、
感情のもつれ、と云ふか、云はばお互にすね合ってゐるだけの話ですな」
こじら・す【拗】
[1] 〘他サ五(四)〙
① 物事をもつれさせる。めんどうにする。また、心をひねくれさせる。ねじけさせる。
※或る女(1919)〈
有島武郎〉後「はきはきした事の好きな私がこんなに意地をこぢらしたり」
② 病気をなおしそこねる。病気を悪くして長びかせる。
※黴(1911)〈
徳田秋声〉七三「『到頭こぢらして了った』笹村は痩細った手を眺めながら、憤
(じ)れったさうに呟いた」
すね【拗】
〘名〙 (動詞「すねる(拗)」の連用形の名詞化)
① しつこいこと。また、よくすねる人。すねやすい人。
※浄瑠璃・公平関やぶり(1662)三「やあ御へんのすねも時によるぞ」
② 曲がりくねったりしてすなおでないこと。ねじれたりちぢれたりしていること。また、そのもの。
※浮世草子・世間妾形気(1767)四「髪の中にはすねがあるのと」
こじれ【拗】
〘名〙 (動詞「こじれる(拗)」の連用形の名詞化)
① もつれること。話や関係などがうまく行かず、面倒な状態になること。
※扇(1956)〈中村真一郎〉三「男は、これ以上断るのは両親と感情的なこじれを作ることになるから、と女に頼んだ」
② 病状が一進一退し、治りにくくなること。
こじ・ける【拗】
〘自カ下一〙 こじ・く 〘自カ下二〙
① 物事がうまく運ばないで、もつれる。こじれる。ねじける。
※浮世草子・傾城禁短気(1711)一「きおいがぬければ身請がこぢけて、かならず御後悔あるもの」
② 煮えそこなって生煮えになる。〔日葡辞書(1603‐04)〕
すね・い【拗】
〘形口〙 すね・し 〘形ク〙 人に従わないで、不平らしく強情をはる様子である。すねている。ひねくれている。
※羅葡日辞書(1595)「Cervix〈略〉ジャウノ コワキ モノ、sunei(スネイ) モノ」
※四座役者目録(1646‐53)上「及蓮も、能は劣りたれども、一段すねき人にて」
こじら・せる【拗】
※続俳諧師(1909)〈高浜虚子〉四六「些細な風邪をこじらせて肺病にならねばよいが」
ねじけ・し ねぢけし【拗】
〘形ク〙 ねじけている。ひねくれている。
※今昔(1120頃か)四「国王の心極てねぢけくて」
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報