拡散層(読み)カクサンソウ

化学辞典 第2版 「拡散層」の解説

拡散層
カクサンソウ
diffusion layer

不均一反応においては,反応界面における物質濃度は,反応の進行とともに減少(反応物の場合),あるいは増加(生成物の場合)し,界面近傍に濃度分布の存在する薄い層が形成される.これを拡散層という.不均一反応の全速度は,反応それ自身の速度のみならず,拡散層を通しての物質移動の速度によっても律速されることになる.W.H. Nernst(ネルンスト)は,はじめてこの不均一反応の特徴を考慮して,不均一反応の反応速度を扱い,ネルンストの拡散層とよばれる概念を導入した.すなわち,反応の進行している界面に厚さδの静止した薄い層(ネルンストの拡散層)を考え,この層の外部では,濃度は一定値 c0(沖合濃度)に等しく,層内では直線的な濃度分布が存在すると仮定して,拡散速度vに対して次式を与えた.

ここで,Dは拡散係数,cs は界面濃度である.この式は,現在においても拡散速度を表すのによく用いられるが,厳密には拡散層内の溶液は静止しているわけではなく,また,濃度分布も直線的ではないので,上式は定性的な意味をもつだけであることに注意を要する.拡散速度を厳密に求めるためには,拡散の微分方程式を適当な初期および境界条件のもとに解かなければならない.ネルンストの拡散層の厚さは,一次元非定常拡散の場合には,

δ ≈ (t:反応開始より経過した時間)
で与えられ,また,層流における定常拡散の場合には,

δ∝ D-1/3Um (U:流速,m = 1/3~1/2)
で与えられるが,水溶液の場合には,通常,10-3~10-2 cm である.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

最新 地学事典 「拡散層」の解説

かくさんそう
拡散層

diffusion layer

結晶が母相から成長ユニットを取り込んで成長する際に,結晶表面近傍に生じる,結晶から遠く離れたバルク濃度に比べて濃度の低い領域。結晶の成長ユニットの取り込み量に対し,母相からの拡散による成長ユニットの供給が間に合わないときに形成する。

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