持て成す（読み）もてなす

精選版 日本国語大辞典

もて‐な・す【持成】

1. 〘 他動詞 サ行五（四） 〙
2. ① 意図的に、ある態度をとってみせる。わが身を処する。
   1. [初出の実例]「いふかひなくて、なかごろなきさまにもてなすも、わびぬればなめりかし」(出典：蜻蛉日記（974頃）下)
3. ② 見せかけの態度をとる。みせかける。
   1. [初出の実例]「気色も更に不見せず不知せずして、我等も有る様に持成(もてな)して、夜打深更(うちふく)る程に忍て出て」(出典：今昔物語集（1120頃か）二九)
4. ③ 何とか処置をする。対応してとりさばく。
   1. [初出の実例]「あるにしたがひ、さだめず、なに事ももてなしたるをこそよきにすめれ」(出典：枕草子（１０Ｃ終）四九)
5. ④ 相手を取り扱う。待遇する。あしらう。
   1. [初出の実例]「少輔(せう)はいとにくき物に思ひしみて、すげなくのみもてなしければ」(出典：落窪物語（１０Ｃ後）三)
6. ⑤ 大切に扱う。大事にする。
   1. [初出の実例]「梨の花、よにすさまじきものにして、ちかうもてなさず」(出典：枕草子（１０Ｃ終）三七)
7. ⑥ 手厚く歓待する。饗応する。ご馳走する。
   1. [初出の実例]「御前へめされまゐらせて、御引出物給はって、もてなされ給ひしありさま、めでたかりし儀式ぞかし」(出典：平家物語（１３Ｃ前）一一)
   2. 「物相一飯(もっさういっぱん)をもてなし、茶をたてて出し」(出典：咄本・醒睡笑（1628）八)
8. ⑦ 取りあげて問題にする。あれこれと取り沙汰する。もてはやす。
   1. [初出の実例]「世にもてなし、時に盛りならむ末学の郢作、善悪の弁へ」(出典：宴曲・撰要目録（1301‐19）)

出典　精選版 日本国語大辞典