振動覚(読み)しんどうかく(英語表記)vibration sense

改訂新版 世界大百科事典 「振動覚」の意味・わかりやすい解説

振動覚 (しんどうかく)
vibration sense

物体振動刺激で起こる感覚で,機械感覚の一種である。床の振動が遠い所を刺激して生じた場合には遠隔感覚として利用できるので,振動覚は多くの動物で警戒行動に利用される。例えば,走っているゴキブリは床を振動させると止まったり,飛んで逃げたりする。あるいは,昆虫類には床や植物の茎を振動させて雌雄間で交信するものもある。昆虫の振動感覚器は足にある膝下(しつか)器官である。ゴキブリの膝下器官は振動数1~4kHzの振動にひじょうに敏感で,振幅10⁻9cm(1.5kHz)の振動に感じる。昆虫では直翅(ちよくし)類の尾毛も振動感覚器である。ミズスマシ触角ジョンストン器官は特殊な例で水面の振動の感覚器となっている。脊椎動物ではパチニ小体Pacinian corpuscleが振動の感覚器である。ひじょうに敏感なネコの後肢のパチニ小体の場合,皮膚の表面に振動数150~400Hzで振幅10⁻5cmの振動を与えても応答が起こる。これより低周波でも高周波でも応答がなくなる。
弦音器官
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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