掛銭・懸銭・賭銭(読み)かけせん

精選版 日本国語大辞典 「掛銭・懸銭・賭銭」の意味・読み・例文・類語

かけ‐せん【掛銭・懸銭・賭銭】

〘名〙
頼母子講(たのもしこう)無尽掛金のこと。月掛け、日掛けなど定期的に掛けてゆく金銭。掛金。かけぜに。
※徳政雑々記(室町)天文一七年一一月一二日「羅漢頼子人数之内、杉原藤四郎、独懸銭依無沙汰、相立左衛門三郎請人云々、所詮任去月一行之旨
※浄瑠璃・心中万年草(1710)中「中に頼母子のかけせん七十四文あった物」
② 義務的に納めさせられる金銭。
(イ) 中世領主が臨時に領民に対して課して徴収した課銭
高野山文書‐応永二六年(1419)七月三日・集会評定事書案「新庄懸銭之事、依庄々に足員数可御定足の事は、雖何辺、於庄家に相計」
(ロ) 戦国時代、後北条氏の領内で徴収された課税の一つ。万雑公事(まんぞうくじ)が整理されて、棟別銭、段銭と並んで課された。
※和田順三郎氏所蔵文書‐永祿一〇年(1567)六月二四日・北条氏康朱印状「精銭一円於夏懸銭、被停止也」
勝負事をする時に賭ける金銭。賭物。
東寺百合文書‐に・文安五年(1448)一二月日・丹波大山荘守護役注文「半分 六百文 連哥懸銭惣分」
代金残額仕事が済んだ後に払う約束で、職人などに前もって渡す手付けの金。また、物を買う時などに渡す手付け金。
※北野天満宮目代日記‐永正七年(1510)一二月二七日「百文右内合力かけせんに初に渡申候」

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