掻い遣る(読み)カイヤル

デジタル大辞泉 「掻い遣る」の意味・読み・例文・類語

かい‐や・る【×掻い遣る】

[動ラ五(四)]
《「かきやる」の音変化》手で払いのける。押しやる。
「急いでボアを―・って床の上に捨てたまま」〈有島或る女
与える。やる。
「つねづね何ぞとらする約束なれば、人の物を―・りて」〈浮・文反古・四〉
行かせる。去らせる。
「ここにも人がきくぞかし。もはや帰られと―・りぬ」〈浮・御前義経記・三〉

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精選版 日本国語大辞典 「掻い遣る」の意味・読み・例文・類語

かい‐や・る【掻遣】

  1. 〘 他動詞 ラ行四段活用 〙 ( 「かい」は接頭語 )
  2. 押しやる。払いのける。
    1. [初出の実例]「いはけなくかいやりたる額つき、かむさし、いみしう美し」(出典:源氏物語(1001‐14頃)若紫)
  3. 行かせる。去らせる。帰す。
    1. [初出の実例]「『京に来て、よい事見た目で、大形の事は』と、けされて、是も、かいやりて」(出典:浮世草子・好色一代男(1682)四)
  4. 与える。やる。
    1. [初出の実例]「りんがちは文(ふみ)書きてとらせんとざらざらと筆をあゆませ茂のじ様まいる身よりとばかり引むすびて、かいやり給ひしを」(出典浮世草子好色五人女(1686)三)

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