若紫(読み)ワカムラサキ

精選版 日本国語大辞典 「若紫」の意味・読み・例文・類語

わか‐むらさき【若紫】

  1. [ 1 ] 〘 名詞 〙
    1. 淡い紫色。うすむらさき
      1. [初出の実例]「武蔵野に色やかよへる藤の花わかむらさきに染めてみゆらん」(出典:延喜十三年亭子院歌合(913))
    2. 植物「むらさき(紫)」の異名。《 季語・春 》
      1. [初出の実例]「かすが野のわかむらさきのすり衣しのぶのみだれ限り知られず」(出典:伊勢物語(10C前)一)
  2. [ 2 ] 「源氏物語」第五帖の巻名。光源氏一八歳の三月から冬まで。源氏が北山で藤壺によく似た少女紫上を見いだし、紫上の祖母死後、自邸二条院に引き取るまでを、藤壺との逢瀬、その懐妊をはさみながら描く。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

色名がわかる辞典 「若紫」の解説

わかむらさき【若紫】

色名の一つ。やや薄く明るい色の美称として用いられた伝統色名。『伊勢物語』『源氏物語』で言葉として用いられ、江戸時代には色名として登場している。薄い紫色は薄色うすいろ、浅紫うすむらさきともいい、8世紀に施行された養老令規定では、朝廷への出仕に着用する朝服ちょうふくの二位、三位の色とされる。ただし、若紫はそれよりも少し濃い。ムラサキ科ムラサキソウの別名でもある。

出典 講談社色名がわかる辞典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android