(読み)もめ

精選版 日本国語大辞典 「揉」の意味・読み・例文・類語

もめ【揉】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「もめる(揉)」の連用形名詞化 )
  2. 揉まれて皺がよること。
  3. あらそい。いさかい。もめごと。
    1. [初出の実例]「遠ひ烟にけつく迷惑 麻袴警固になって揉(モメ)がつく」(出典俳諧・西鶴大矢数(1681)第三二)
    2. 「こちらに大きなもめが出来て」(出典:浄瑠璃・博多小女郎波枕(1718)長者経)
  4. 人におごること。散財すること。また、その費用
    1. [初出の実例]「九十三人大客をして〈弘員〉 四五貫目恋風しきってもめとなる〈貞倶〉」(出典:俳諧・伊勢宮笥(1679))
    2. 「野崎参りの入用はおれがもめ」(出典:浄瑠璃・女殺油地獄(1721)下)

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

普及版 字通 「揉」の読み・字形・画数・意味


12画

[字音] ジュウ(ジウ
[字訓] もむ・ためる・やわらげる

[字形] 形声
声符は柔(じゆう)。柔は木を揉(たわ)め撓(ま)げる意で、その木を柔、そのことを揉という。〔詩、大雅、高(すうこう)〕に「を揉(やは)らぐ」の句がある。金文に「きを(やは)らげ(ちか)きを能(をさ)む」とあり、(じゆう)が柔・揉の初文。は酒を献じ、舞って神意を柔らげること、揉は木や皮革の類を柔らげることをいう。

[訓義]
1. もむ、ためる、ひねる、こねる。
2. やわらげる。

[古辞書の訓]
立〕揉 マジハル 〔字鏡集〕揉 ヒネル・タム

[語系]
揉・柔・・鞣・njiuは同声。(肉)njiuk、(弱)njikも声義近く、同系の語である。擾()・njiuは(どう)に従い、歌舞して神意を安んずる意の字であるが、のち柔・揉の字を用い、「遠」を「柔遠」のようにしるす。

[熟語]
揉革・揉合揉搓・揉砕・揉擦・揉雑・揉・揉濯揉捏揉摩揉輪揉弄揉和
[下接語]
矯揉・錯揉・雑揉・手揉・痛揉・紛揉・和揉

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