日本大百科全書(ニッポニカ) 「揚げ超」の意味・わかりやすい解説
揚げ超
あげちょう
国庫収支が受取り超過になること。すなわち、中央財政が一般会計・特別会計等を通じて民間から吸い上げる租税、国債発行、専売納付金などの収入が、民間(地方財政を含む)への支払いを上回った状態をいう。この逆が散超(さんちょう)(払い超(はらいちょう))である。揚げ超や散超は財政資金対民間収支という統計によって示されるが、それらは一般会計の収入・支出項目別、特別会計別、さらに月別、四半期別、年度別に表される。国庫収支はすべて通貨で行われるから、揚げ超になると、民間経済で通貨が不足がちになり、散超になると民間経済に流通する通貨が増大する。このように、揚げ超か散超かは金融、経済に大きな影響を与える。高度成長期の日本は、不況期を除いてほとんど揚げ超であったが、オイル・ショック以後の低成長期には、財政収入減と支出増を反映して散超が続いた。1990年度以降は、大量の国債発行などを背景として揚げ超が続いている。
[一杉哲也・羽田 亨]