援助的行動(読み)えんじょてきこうどう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「援助的行動」の意味・わかりやすい解説

援助的行動
えんじょてきこうどう

他人危急を救ったり、めんどうをみたり、持っているものを分けたり、寄付行為をしたりといった困っている人を助ける行動の総称。この種の行動の社会心理学的な研究は、1964年春ニューヨークで、若い女性が、38人の目撃者がいたにもかかわらずなんの救助も得られずに惨殺された事件がきっかけとなって取り上げられるようになった。援助的行動をとらせる要因としては、相手が実際に援助を必要としているかどうかの認知、自分が助けなければならないかどうかの状況判断、そのときの自分の感情状態、援助的行動によって生じる自分への利害得失計算相互扶助、互恵性の社会的規範または困窮者・弱者救済の社会的責任に対する認識などがあげられる。他方、援助的行動を抑制する要因としては、援助によって受けるかもしれない過大な損失のおそれ、ほかのだれかが援助するかもしれないという社会的責任の拡散、大都市住民などにみられる環境の刺激入力過多からくる冷淡さ、などが指摘されている。

[辻 正三]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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