擦文土器文化(読み)さつもんどきぶんか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「擦文土器文化」の意味・わかりやすい解説

擦文土器文化
さつもんどきぶんか

奈良末期・平安時代に北海道のほぼ全域と東北地方北部に広がった、擦文式土器を特徴とする文化。続縄文文化、とくに江別(えべつ)式土器文化が古墳時代末期ないし奈良時代の本州文化の強い影響で変容し、8世紀後半ごろ本文化を形成した。したがって土器の器形は土師器(はじき)に似るが、整形の際の擦痕(さっこん)を有し、独特の直線的刻線文で飾られる。石器はほとんど使われず、刀子(とうす)などの鉄器とその製作技術をもつ。猟漁、採集に加えてアワヒエなどの農耕も行い、紡錘車出土は機(はた)織り技術の存在を物語る。竪穴(たてあな)式住居は方形で壁の一部に竈(かまど)をもつ。墓制は土壙墓(どこうぼ)であったと思われるが資料が少なく、擦文人の形質とともにまだよくわからない。本文化は鎌倉時代ごろまでには衰退するが、近世アイヌ文化との関係もなお不明な点が多い。

[菊池徹夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

今日のキーワード

自動車税・軽自動車税

自動車税は自動車(軽自動車税の対象となる軽自動車等および固定資産税の対象となる大型特殊自動車を除く)の所有者に対し都道府県が課する税であり、軽自動車税は軽自動車等(原動機付自転車、軽自動車、小型特殊自...

自動車税・軽自動車税の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android