北海道南部、石狩(いしかり)平野にある市。札幌市東部に隣接する衛星都市の一つ。1954年(昭和29)市制施行。JR函館(はこだて)本線、国道12号、275号、337号が通じ、道央自動車道江別西・東インターチェンジがある。地名はアイヌ語の「ユベオッ」(サケのいる川)説その他がある。1878年(明治11)岩手県から10戸が屯田兵の先駆で入植し、続いて1886年2個中隊378戸が配置を完了した。1890年新潟県人関矢孫左衛門(せきやまござえもん)が「北越殖民社」を組織して204戸を市内野幌(のっぽろ)に移住させ開拓にあたった。札幌近郊の典型的な酪農地域であったが、大正時代以降市内を流れる江別川(千歳川(ちとせがわ))と石狩川の合流点に王子製紙工場(現、王子エフテックス工場)、北海道電力火力発電所(1991年廃止。現、ほくでん総合研究所)が立地し、野幌地区ではれんが、農業排水用土管などの窯業が盛んで工業都市的要素が加わっていった。1955年以降札幌市のベッドタウン化する傾向にあり、とくに道営大麻住宅団地(おおあさじゅうたくだんち)が洪積台地の末端、屯田兵駐屯地跡に造成されて約2万の住民が居住するようになった。またこの団地と国道、JR線を挟んだ南側、野幌丘陵の一部は大学や道立図書館などの文教文化施設が集中し、文教地区となっている。札幌市、北広島市にかけて特別天然記念物の野幌原始林が広がり、付近は道立野幌森林公園、道立野幌総合運動公園となっている。旧野幌屯田兵第二中隊本部は道指定文化財。面積187.38平方キロメートル、人口12万1056(2020)。
[奈良部理]
『『江別市史』上下(1970・江別市)』
北海道中央部,石狩平野に位置する市。1954年市制。人口12万3722(2010)。札幌市の東に隣接し,JR函館本線が通じ,道央自動車道のインターチェンジがある。市域は石狩川の両岸にまたがる。1871年(明治4)以降入植者があったが,現在の中心市街地に屯田兵村の設置された78年に江別村となり,開拓の本格的な進展をみた。90年その南西野幌(のつぽろ)への北越殖民社による新潟県人の入植も重要であった。91年以降野幌で行われている煉瓦製造は北海道開発に貢献するところが大きかったが,近年はコンクリートに押され,セラミックブロック,農業用土管などに変わってきている。石狩川河畔の製紙工場は1908年以来の歴史をもつ。新産業都市の指定地域となり,70年工業団地が造成されて工場誘致がはかられ,また道央自動車道が通じ,札幌市の急速な発展によりその近郊都市化が著しい。酪農は古くから発展し,近郊酪農地帯を形成し,低地には水田が広がる。札幌市にまたがって天然林を保存する野幌森林公園がある。
執筆者:岡本 次郎
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