敷名(読み)しきな

日本歴史地名大系 「敷名」の解説

敷名
しきな

[現在地名]沼隈町常石 敷名

内常石うちつねいしの東南端にあり、対岸田島たしま(現内海町)北端幸崎こうさきとの間は暗礁(爼岩)を挟んだ狭い海峡となっており、位置的にもとも(福山市)と尾道浦との中間にあたるため、また厳島信仰とも関連して古くから交通の要所となっていた。「平家物語」巻四には、治承四年(一一八〇)三月、退位後初めて厳島に詣でた高倉上皇が、二九日「夜半ばかりより浪もしづかに、風もしづまりければ、御舟こぎいだし、其日は備後国しき名の泊につかせ給ふ」とあり、それに続けて敷名は「応保のころおひ一院御幸の時、国司藤原の為成がつくたる御所のありけるを、入道相国御まうけにしつらはれたりしか共、上皇それへはあがらせ給はず」とあり、後白河法皇なども厳島詣の途中この地に泊まったという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

今日のキーワード

南海トラフ臨時情報

東海沖から九州沖の海底に延びる溝状の地形(トラフ)沿いで、巨大地震発生の可能性が相対的に高まった場合に気象庁が発表する。2019年に運用が始まった。想定震源域でマグニチュード(M)6・8以上の地震が...

南海トラフ臨時情報の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android