散木奇歌集(読み)サンボクキカシュウ

デジタル大辞泉 「散木奇歌集」の意味・読み・例文・類語

さんぼくきかしゅう〔サンボクキカシフ〕【散木奇歌集】

平安後期の私家集。10巻。源俊頼自撰大治3年(1128)ころ成立。歌数1600余首。奇語俗語を用いて独自の新風展開散木集。散木弃歌集。

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精選版 日本国語大辞典 「散木奇歌集」の意味・読み・例文・類語

さんぼくきかしゅう‥キカシフ【散木奇歌集】

  1. 平安末期の私家集。一〇巻。源俊頼の詠歌を収める。俊頼は前木工頭、従四位上に叙せられたが、木工頭であったために謙遜して「散木」と命名した。歌数は一六二二首。自撰で、大治三年(一一二八)頃の成立。四季・祝・別離羇旅・悲嘆・神祇・釈教・恋・雑などに部立され、雑部には連歌も含まれ、俊頼の新風がうかがわれる。「散木集注」という顕昭の注釈書がある。散木集。源俊頼朝臣集。

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改訂新版 世界大百科事典 「散木奇歌集」の意味・わかりやすい解説

散木奇歌集 (さんぼくきかしゅう)

平安後期の歌人源俊頼の家集。10巻。最晩年70余歳の《金葉和歌集》(三奏本,1127年ごろ奏覧)撰定後に自撰したもの。〈散木〉は無用の木の意の謙辞新奇な歌の意の〈奇歌〉と,棄(す)てるべき歌という卑下の〈弃歌〉と,両様の表記がある。1622首の自作歌を整然とした組織に分類した。春夏秋冬は月ごとに区別し,以下を祝,別離,旅宿,悲嘆,神祇,釈教,恋上下,雑上下に分かつ。俊頼の和歌観が自撰家集の意図と方法によく具現されている。なお,近江の田上(たなかみ)の山荘での詠歌を中心に抄出した他撰家集に《田上集》がある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「散木奇歌集」の意味・わかりやすい解説

散木奇歌集
さんぼくきかしゅう

平安後期の歌人源俊頼(としより)の自撰(じせん)家集。10巻。晩年の1128年(大治3)ころの成立。1622首(うち重出歌3首)を勅撰集仕立てに部類した整然たる全歌集の形態をとっている。書名の「散木」は役にたたぬ木材の意で、歌道の権威でありながら不遇に終わったことへの自嘲(じちょう)が込められる。『万葉集』以来の古典に精通し、卑俗を恐れず表現の新奇、歌境の拡充を図った歌人だけに、難解な綺語(きご)、俗語を多用して、独自の新風を展開している。豪奢(ごうしゃ)な自然観照、清新な叙景歌など、歌風は多彩にわたる。

[近藤潤一]

『関根慶子著『散木奇歌集の研究と校本』(1952・明治図書出版)』『関根慶子著『中古私家集の研究』(1967・風間書房)』

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百科事典マイペディア 「散木奇歌集」の意味・わかりやすい解説

散木奇歌集【さんぼくきかしゅう】

平安後期の歌人源俊頼の自撰家集。10巻。1127年―1128年ころの成立か。歌数は約1600首。うち連歌55句を含む。四季・祝部・別離・旅宿・悲嘆部・神祇・釈教・恋部上下・雑部上下と整然とした勅撰集的な部立である一方,俗語・奇語・万葉語を用いた個性的な和歌や連歌を収める等,俊頼の,和歌革新に向けた意欲的かつ多面的な模索と実践の集大成となっている。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「散木奇歌集」の意味・わかりやすい解説

散木奇歌集
さんぼくきかしゅう

平安時代後期の歌人源俊頼の自撰家集。 10巻。 1622首。大治3 (1128) 年頃成立。『万葉集』などの古典にも当時の新風にも通じ,鮮明かつ幽婉な歌風で大御所的存在であった作者一生の総決算ともいうべき家集。「散木」は俊頼が木工頭であったから謙遜していったもの。

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