官板バタビヤ新聞(読み)カンパンバタビヤシンブン

デジタル大辞泉 「官板バタビヤ新聞」の意味・読み・例文・類語

かんぱん‐バタビヤしんぶん〔クワンパン‐〕【官板バタビヤ新聞】

江戸末期の逐次刊行物。文久2年(1862)江戸幕府蕃書調所ばんしょしらべしょが、バタビアオランダ総督府の機関紙抄訳・出版したもの。23巻まで刊行。のち、洋書調所が訳して継続したのが「官板海外新聞」で、内容同質日本の近代新聞先駆となった。官版バタビア新聞。

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精選版 日本国語大辞典 「官板バタビヤ新聞」の意味・読み・例文・類語

かんぱん‐バタビヤしんぶんクヮンパン‥【官板バタビヤ新聞】

  1. 逐次刊行物。文久二年(一八六二一月、江戸幕府蕃書調所が、バタビア(現ジャカルタ)のオランダ政庁の機関紙「ヤバッシェ‐クーラント」を翻訳出版したもの。のち「官板海外新聞」と改題。日本の近代新聞の先駆となる。別称、文久新聞

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「官板バタビヤ新聞」の意味・わかりやすい解説

官板バタビヤ新聞
かんぱんばたびやしんぶん

1862年(文久2)正月に発行された日本最初の邦字紙。鎖国中、長崎に入港したオランダ船が幕府に提出していた風説書(ふうせつがき)(ニュース)にかわって、オランダの新聞を献上するようになったため、この新聞を幕府の蕃書調所(ばんしょしらべしょ)が翻訳、江戸の書店萬屋(よろずや)兵四郎に発売させたもの。原書はバタビヤのオランダ総督府の機関紙『ヤバッシェ・クーラント』Javasche Courantで、1861年8月31日から11月16日までの分を抄訳し、翌年正月から2月に23巻に分けて発行した。半紙二つ折、5、6枚を1冊とし、木活字を用いて印刷した。内容は各国の情勢を国別編集したもので、翻訳者は箕作阮甫(みつくりげんぽ)、川本幸民(こうみん)、杉田玄瑞(げんずい)、松本弘安(こうあん)、柳河春三(やながわしゅんさん)、神田孝平など一流の洋学者である。その後は、1862年8月から9月にかけて『官板海外新聞』と改題し、同年1月1日から29日までの分の抄訳を9巻に分けて発行している。

[春原昭彦]

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百科事典マイペディア 「官板バタビヤ新聞」の意味・わかりやすい解説

官板バタビヤ新聞【かんぱんバタビヤしんぶん】

幕末に発行された最初の逐次刊行物。1862年(文久2)正月第1巻刊,23巻。国民に外国事情を知らせて攘夷運動(攘夷論)をしずめるため,従来オランダ風説書の形で幕府の要人が独占していた海外情報を一般に公開したもの。ジャカルタのオランダ総督府機関紙《ヤファンシェ・クーラント》を幕府の洋書調所で邦訳。その後《官板海外新聞》と改題し,1862年8〜9月に9巻を出版し,また別集3巻を出したが,そのうちの上・下巻は南北戦争,中巻は遣欧使節竹内下野守の記事を収録している。
→関連項目海外新聞新聞

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「官板バタビヤ新聞」の解説

官板バタビヤ新聞
かんぱんバタビヤしんぶん

江戸幕府が海外情報を公開するため,1862年(文久2)蕃書調所の翻訳で刊行した邦字紙。木活字版。万屋兵四郎方から発売。もとになったのは週2回バタビアで発行されたオランダ領東印度総督府の機関紙「ヤバッシェ・クーラント(Javasche Courant)」。61年8~11月分を23巻本として刊行。半紙二つ折で冊子形態,欧米の政治情勢などを掲載。「官板海外新聞」は「官板バタビヤ新聞」を継続したもので,62年1月分を洋書調所(蕃書調所が改称)が翻訳。「官板海外新聞別集」3冊は,1冊がオランダの新聞から遣欧使節の動向を訳載した「日本使節巡行紀事」,上下巻2冊がニューヨークの新聞から南北戦争の状況を訳載したもの。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「官板バタビヤ新聞」の意味・わかりやすい解説

官板バタビヤ新聞
かんぱんバタビヤしんぶん

江戸時代末期,幕府が公刊した海外情報紙で,日本最初の新聞。内容はジャワのオランダ領東インド政庁が幕府に贈った機関誌"Javasche Courant" (ヤバッシェ・クーラント) から国別方式で編集,記載したもの。文久2 (1862) 年に,幕府の蕃書調所が編集したもので,発行者は万屋兵四郎。和紙の木版刷りで,同年1月から2月までに全部で 23巻刊行された。1冊は数枚の抄録である。このあと,同年秋,同じような体裁で『官板海外新聞』と改題して開成所で編集し出版された。 (→海外新聞 )  

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