斜視が起こる原因

六訂版 家庭医学大全科 「斜視が起こる原因」の解説

斜視が起こる原因
(眼の病気)

 斜視は、眼位の異常をいいますが、さまざまな種類の斜視があり、種類によって起こる原因も異なってきます。

 中等度の遠視が原因で、物を見る時に強い調節が必要となり、眼球が内斜することによって起きる調節性内斜視や、眼底疾患や水晶体の混濁(こんだく)などにより、患眼が使われず、両眼視ができなくなって斜視となる廃用性(はいようせい)斜視など、原因が明らかとなっている斜視もありますが、乳児内斜視間欠性(かんけつせい)外斜視など、斜視の多くは原因がいまだ不明です。

 一卵性双生児では、両方に斜視が存在する場合が多いことから、遺伝的な要因があることは間違いないと思われますが、孤発例が多いことから、遺伝だけでは説明ができません。

 また、斜視に対して、斜位(しゃい)という状態があります。斜視では常に眼の位置がずれた状態であるのに対し、斜位両眼で見ている時の眼位は正常ですが、遮閉(しゃへい)すると眼のずれが起きます。斜位の人の多くは、両眼の像をひとつにするための中枢機構により眼位を保っている状態です。この場合、年齢とともに眼位を保つことが困難になって斜視が出現することがあります。成人以降に発症する斜視は斜位が原因のことが多いものです。

 そのほか、高熱や酸欠状態、頭部外傷のあとに、斜視が発症することがあります。脳内で眼球位置を制御するシステムの異常が示唆されていますが、詳しい機構は不明です。また、未熟児で出生した場合、このようなシステムの未熟性が存在していると考えられ、斜視の起こる頻度平均に比べてかなり高くなっています。斜視の起こる原因は、今後の研究による解明が期待される分野です。

出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報

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